蜷川氏 実花さん「任せて」に「うん」

 12日に肺炎による多臓器不全のため死去した演出家の蜷川幸雄さん(享年80)の通夜が15日、東京・青山葬儀所で営まれるのに先立ち、長女で写真家・映画監督の蜷川実花氏が、取材に応じた。和装の喪服姿の実花氏は、時折笑顔を見せながら、蜷川氏との最後の会話や思い出を語った。死去後、実花氏が取材に応じるのは初めて。

 毎日のように病室を訪れ見舞っていた実花氏。亡くなる3日前に実花氏が「あとは任せてね」と呼びかけると、「うんうん」とうなずいたのが最後の会話となった。

 12日は、亡くなる直前まで病室にいたが、撮影があるため離れ、20分後に息を引き取った。蜷川氏の最後の言葉は、妻で元女優の真山知子さんをキョロキョロと探しながら発した「まやまは?」だったという。

 それでも、昨年12月に入院してから5カ月間、何度も危篤になりながら「奇跡的によみがえったりの繰り返しだった」と明かし、「何回もお別れした。家族も寂しいけど、最後まで駆け抜けた人生だったと思う」と語った。

 遺影は昨年9月に「NINAGAWA マクベス」を公演した際に、実花氏が撮影したもの。柔らかくほほ笑む蜷川氏のバックには、セットの赤い月が浮かび上がった1枚だ。実花氏は「マクベスは父を象徴する作品。あの写真は遺影になるかなと思いながら撮影した。父もかっこいいとよろこんでくれると思う」と話した。祭壇は白と赤の花が飾られている。

 演出家としては非常に厳しいことで知られた蜷川さんだったが「孫に見せる顔はデレデレで、イチャイチャしていた」と実花氏。自身に対しても「灰皿を投げるようなことはなく、理論で怒ってくる人。私はすべて納得しながら怒られていた」と振り返り、「あまりほめられることはなかったけど『お前、はやっているらしいじゃん』といわれた。映画を作ったときは色んな人から『映像は実花の方がうまいんだよ』と伝えられたり」と照れ屋な父親像も明かした。

 棺には、これから手がける予定だった戯曲を入れる予定。戒名はないという。

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