激務やり抜いた「たくみお姉さん」

 NHK・Eテレの長寿子ども向け番組「おかあさんといっしょ」(月曜~土曜、前8時)の「うたのお姉さん」が交代すると12日、発表された。地上波の放送では史上最長となる8年間務めた「たくみお姉さん」こと三谷たくみは「やり切れたなという思いから次のお姉さんにバトンタッチしようと思いました」と説明。常に笑顔で元気なお姉さんであり続ける激務をまっとうした充実感を漂わせていた。

 今回の交代は「私の方から卒業したいと言いました」と、三谷から申し出た。局関係者によると、結婚の予定はなく、いわゆる“寿卒業”ではないという。今後についても三谷は「事務所などには入らずに、ゆっくり過ごそうかと思います」と積極的な芸能活動はしない方針だ。

 洗足学園音楽大学に在学中の08年4月に「うたのお姉さん」に就任してから8年。20代のほとんどを番組にささげてきた。番組側からも高い要求があり制作局青少年・教育番組部チーフ・プロデューサーの古屋光昭氏は「慣れ過ぎないで」とお願いしていたという。8年前の就任の際に「子どもたちにとっては1分の1。君たちにとっては二百何十分の1かもしれないけど」と子どもたちとの一期一会を大切にするよう忠告。三谷と、「うたのお兄さん」の横山だいすけはこれに応えて、フレッシュさを失わず歌と笑顔を子どもたちに届けてきた。

 続投する相棒の横山は三谷との8年間を「どうしたら収録に来る子どもたちに寄り添ってあげられるだろうかと、笑ったり、泣いたり時には怒りながら意見をぶつけた」と振り返った。「ぼくも8年間やってこられたのはたくみお姉さんのおかげだと思います。ゆっくりした時間を過ごしてもらえればと思います。ありがとう」とねぎらわれた三谷は涙をぬぐった。

 三谷の先代、19代目の「うたのお姉さん」はいだしょうこは、テレビ番組で「海外旅行禁止」「結婚禁止」といった厳しいルールが在任中にあったことを明かしている。そうでなくとも番組は月曜から土曜まで毎日放送されている。収録、リハーサル、ロケ、コンサートなど活動は多岐にわたり、息つく暇もない。「ゆっくり過ごそうかと思います」という三谷の言葉は、心から出たものだろう。

 後を継ぐ21代目のお姉さん、小野あつこは4月4日の放送から正式に登場する。児童館で子どもたちと歌う活動をしていたといい、「近所のお姉さんのような感覚で子どもたちに親しまれたい」と抱負を語った。

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