やっくん メンバー守るために死んだ
交通事故による心臓破裂で5日に亡くなったタレントの桜塚やっくんこと斎藤恭央さん(享年37)について、同乗していたバンド「美女♂menZ」のメンバー(伊織、透ch、如月なつき)が10日、事故の瞬間の様子を初めてフジテレビ系「とくダネ!」のインタビューに対して語った。
メンバーはまず、マネジャーの砂守孝多郎さんが最初にはねられた際の状況を説明した。それによると砂守さんは携帯電話で通話しながらドアを開けて外に出、その瞬間走って来たトラックにはねられて、体が車内に飛び込んできた。
事故の瞬間まで、メンバーは熊本でのコンサートに向けて車内で作業していた。グッズの仕分け、資料調べ、携帯での連絡…やっくんはそのとき運転手役だった。
“日常”が突然“非日常”へと転じて、メンバーは半ば錯乱状態に陥った。伊織は「とっさに外に出ちゃったんですよ。で、後ろに走って行ったんです」。後続車に合図しようという行動だったが、危険を感じたやっくんはすぐ後を追って車外に出ると、伊織をかばうようにさらに後方に立った。
透chはそのときのやっくんの声が耳に残っている。「『大丈夫か!』とか『伊織ーっ!』とかメンバーの名前を叫んだり、本当にみんなを心配する声でした」。その声は、後方からいきなり現れた乗用車がやっくんをはねたことで断ち切られた。
如月なつきは涙声で言う。「メンバーを守りたい一心で自分の命を呈して外に出て守ってくれて…やっくんが助けてくれなければ後ろから衝突されてメンバー全員死んでたかもしれない」。
やっくんにとって「美女♂menZ」は大切なものだった。ピンで来た仕事依頼に「メンバーも一緒ではダメですか」と頼み込んだり、「武道館を埋めるのが目標だ」と言い続けていた。
メンバーは夢の実現を願って全員が足にミサンガを着けている。「絆です。やっくんは絆を着けたまま天国に行きました」と伊織は声を詰まらせた。