都立昭和が早実・清宮を撃破

早実に勝利し、笑顔で作戦を記したホワイトボードを披露した昭和・森監督=八王子市民球場
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 「春季高校野球東京大会・2回戦、昭和6-2早実」(6日、八王子市民球場)

 都立高校の昭和が話題のスラッガー清宮幸太郎外野手(2年)を擁する名門・早実を撃破した。森勇二監督は今大会に向けて「バカボンのパパ作戦」なる作戦を選手たちに伝授。「こうだったら良かったのに」というマイナス思考から、「これでいいのだ」というプラス思考に考え方を変えさせて注目の相手に打ち勝った。

 2-2で迎えた八回、1死満塁で打席に4番の小谷英志(3年)が入った。「ストレートが来たら振ろうと思った」という狙い通りに直球がインコースよりに来た。迷わずスイングすると打球は伸びて、バックする右翼手の頭上を越えてスタンドへ。試合を決める満塁弾にお祭り騒ぎとなった昭和ベンチの中で、ひときわ喜びを爆発させていたのが、森監督だった。

 森監督は今大会へ向けて、選手を前向きにプレーさせるために「バカボンのパパ作戦」を提唱していた。ホワイトボードに「人間万事、塞翁が馬」という言葉に続けて「これでいいのだ」「『~のに』を『~のだ』に変える」と記して、早実戦に臨ませた。現代の高校生にはちょっと世代が合わない気もするが、幸いにも実写ドラマが3月11日に放送されたこともあり、大体のイメージは伝えられたようだ。

 この試合では残塁が12と多かったが、「これでいいのだと。残塁が出てもいいのだ」とチャンスを作れていることの方を重視。八回に巡ってきた満塁機では小谷に「スクイズはしないぞ。角度をつけて外野フライを打て」とアドバイス。すると小谷にとって生涯初のサク越えとなる満塁弾が飛び出した。

 もちろん技術面の対策も万全だった。清宮に対しては徹底して外角に放らせ、締めた三遊間で打ち取るシフトをとった。深い守備位置をとっていた中前に打球が抜け二塁打となる不運もあったが、「それはしょうがない」と割り切って、外角攻めと清宮シフトを貫いた。2-2の同点で迎えた七回の第4打席は、清宮が初球外角のボール球に手を出し二ゴロに凡退。安打が出ると流れが傾きかねない場面できっちりとキーマンを打ち取った。

 先発完投勝利を挙げた田舎の球速は森監督によると「115キロから120キロぐらい」と遅い。だが、森監督は「速いボールはいらないんだ。遅いボールで勝負しよう」とありのままの力をぶつけさせて結果を出した。「これでいいのだ」というセリフを体現するような快勝だった。

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