【菊花賞】サトノダイヤモンド最後の1冠で輝いた 淀の長丁場で春の雪辱

 「菊花賞・G1」(23日、京都)

 ついに人馬の念願がかなった。1番人気のサトノダイヤモンドが、直線鮮やかに抜け出してG1初制覇。春無冠の雪辱を果たすとともに、ディープインパクト産駒として初の菊花賞Vを成し遂げた。鞍上のルメールはJRAのG1・8勝目で、日本のクラシックは初勝利。今後、年内は有馬記念(12月25日・中山)参戦などを視野に入れ、来年は凱旋門賞を最大目標に据えて調整が進められる。

 喜びを抑え切れなかった。デビューから全7戦手綱を取ったサトノダイヤモンドと、初めて手にしたクラシック。皐月賞は直線で不利を被り3着。ダービーは落鉄の影響もあり、約8センチ差の2着に終わったとあって、うれしさはひとしおだ。ファンに向かって誇らしげに両手を突き上げたルメールは、出迎えた担当の中澤助手と力強い握手。パートナーの首筋に自らの身を委ね、歓喜の余韻に浸った。

 「今は子どものような、見習い騎手みたいな気持ち。クラシックは一番大切なレース。日本に来た時から勝ちたかった。初めて勝てて本当にうれしい」

 まさに人馬一体だった。1周目の坂の下りを難なくクリアして、中団で流れに乗る。2周目の3角で進出を開始し、皐月賞馬ディーマジェスティを従え、うなるような手応えで直線へ。堂々と抜け出すと、鞍上の左ステッキで一気にギアをトップに上げた。繰り出した上がり3Fはメンバー最速の34秒1。2馬身半の差をつけ、栄光のゴールを射抜いた。「直線の反応はすごかった。リラックスして走ってくれたし、本当に強かった」と鞍上は相棒をたたえれば、池江師は「完璧に乗ってくれた」と手放しで名手の手腕を絶賛した。

 ラスト1冠奪取に向け、愛馬をステイヤー仕様に仕上げた。理想としたのは、父・池江泰郎元調教師の管理馬メジロマックイーンに代表される強い菊花賞馬の姿。「中間は重い負荷をかけた。僕の厳しいメニューによく耐えた。神戸新聞杯と馬が違っていたし、いい状態に持ってこられた自負はあった」と指揮官は胸を張る。馬体重はデビュー以来、最低タイの498キロ。全身が無駄なく研ぎ澄まされていた。

 今後について、師は「年内1戦となると、登録している香港C(香港G1・12月11日・シャティン)か香港ヴァーズ(同)、有馬記念を含めた3択になる。来年は今年断念した凱旋門賞を視野に、逆算したローテーションを組みたい」と力を込めた。原石がようやく大舞台で輝いた。今度は歴戦の古馬や世界を相手に、さらにまばゆい光を放っていく。

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