脇本、ケイリン2大会ぶりメダル獲得だ

 8月5日(日本時間6日)に開幕するリオデジャネイロ五輪まで4カ月。日本は自転車競技のトラック4種目で出場枠を獲得し、代表選手は6日に日本自転車競技連盟から発表される。今回のKEIRIN屋は、ケイリンでの出場が内定している脇本雄太(27)=福井・94期・S1=を特集。2008年の北京五輪以来、2大会ぶりのメダル獲得を目指す。脇本が成し遂げれば、福井県民として夏季五輪の個人種目で初のメダリストとなる。

 脇本が五輪を目指す理由は単純明快。きょうだい5人を育ててくれた母・幸子さんとの約束を果たすためだ。「おかんと一緒にオリンピックに行きたかった」。この気持ちを原動力に、競輪選手と自転車競技の日本代表という二刀流の激務に耐えて、リオ五輪の出場権を獲得した。

 中学生まで運動とは無縁だったが、高校入学時に友人に誘われて自転車に乗ると、秘めていたアスリートの素質が開花。高校2、3年時には国体1キロタイムトライアル(TT)連覇。そんな息子の活躍を母は大いに喜んだ。競技を始めたころに、母から「オリンピックを目指して。活躍するところを見たい」と励まされた。高校卒業後の進路は悩むことなく、競輪選手への道が自然と決まった。

 競輪選手を目指す多くの若者たちは、賞金1億円のKEIRINグランプリ優勝を夢見る。しかし、脇本は「オリンピック選手になるためには、競輪選手になるのがベスト。オリンピック出場を目指しながら、金を稼げるのは競輪選手しかなかった」と言い切る。

 五輪出場を目指して、自転車競技の世界選手権やワールドカップ(W杯)へ参加するために、世界中を転戦してきた。日本国内の競輪出走時には、時差ボケで苦しむことも多い。課題山積の現状でも、脇本が弱音を吐くことはない。車券を買ってくれるファンの支持には、しっかりと応えてきた。そして、2大会ぶりのメダル獲得と20年東京五輪を含めた今後を冷静に見据える。

 「日本もオリンピック中心に考えればメダルは獲れると思う。韓国は、ジュニアで素質のある選手に英才教育をしている。その結果、韓国勢のレベルはグングン上がってきている。日本も(五輪予選の開始後は)競輪を走らなくてもいいくらい、対応してもらえればと思います」

 五輪本番まで残り4カ月。気合は徐々に高まっている。

 「僕がメダルを獲ることで競輪の見方を変えられるなら、色は何でもいいからメダルが欲しい。競輪を知らない新しい層を取り込むチャンス。そうなれば競輪も安泰だと思うので。競輪が盛り上がれば、僕も長く選手を続けられる」

 11年に51歳で亡くなった母と約束した「オリンピック出場」はかなえた。ここからは自分のため、競輪界のために、2大会ぶりの五輪メダル獲得へ力を振り絞る。

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