【阪急杯】橋口師ラスト重賞V飾る

 「阪急杯・G3」(28日、阪神)

 今週末で35年間の調教師生活にピリオドを打つ橋口弘次郎調教師(70)=栗東=が、ミッキーラブソングでラスト重賞制覇を狙う。96年菊花賞馬ダンスインザダーク、05年有馬記念馬ハーツクライ、14年ダービー馬ワンアンドオンリーなど幾多の名馬を手掛けてきた名伯楽。最終週にタイトルを獲得し引退の花道を飾ることができるか、大きな注目が集まる。

 また一人、日本競馬を彩った名伯楽がターフを去る。ダービートレーナーの橋口弘師は「いよいよという気持ちはあるが、そこまで大げさではないよ。今年は未勝利だし、勝って締められたら最高だね」と穏やかに笑う。

 80年に調教師免許を取得。JRA通算991勝で同重賞勝利は96を数えるが、道のりは順風満帆ではなかった。82年の開業当初は「文字通り、ゼロからのスタート。10馬房を空でもらったんだ。馬がついてきたわけじゃないし、逆に怖いものなんてなかった」と振り返る。宮崎県の牧場の子として生まれ、佐賀競馬の騎手を経て、厩務員に。中央競馬に後ろ盾はなく、自ら工夫して道を切り開いた。

 「ダービーに、競馬人生で執念を燃やしてきた」。最も悔しい一戦は、師自らが「俺の中の最強馬」というダンスインザダークで2着に敗れた96年ダービー。一番うれしかったのも、14年にワンアンドオンリーで制したダービーだ。4度の2着を経ての大願成就に「ダービーを勝つなんて奇跡。毎年、7000頭近い中で1頭だけ。念願のダービーまで勝って悔いがあるわけがない」と表情も晴れやかだ。

 昨年の年明けには、自律神経失調症を発症した。厩舎で馬とともに生活し「夜中に目が覚めると、そこから寝られなかったのがつらかった」という。昨年12月中旬には、苦渋の決断で愛馬のそばを離れて引っ越した。「そこからだいぶ良くなっているし、競馬場にもなるべく行くようにしている」。今週末も、阪神競馬場で最後の職務を全うするつもりだ。

 阪急杯にはミッキーラブソングを送り込む。「千四がベスト。メンバーは強いが、頑張ってほしい」と期待する。指揮官が引退後は3月から開業する息子の慎介師が引き継ぐ。JRA通算97個目の重賞タイトルを奪取し、親子のバトンをつないでみせる。

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