【JC】ゴールドシップ再輝だ

 「ジャパンC・G1」(29日、東京)

 “世紀の大出遅れ”でブービー15着と大敗した悪夢の宝塚記念から、約5カ月が経過。記憶と記録に残る“怪物”ゴールドシップが、復帰戦で歴史的な快挙に挑む。勝てば歴代最多タイのJRA・G1・7勝目で、JRA重賞勝利数でも歴代最多の12勝に並ぶ。既に年内での引退、来春からの種牡馬入りも決定。コンビを組む名手・横山典弘騎手(47)が胸の内を明かした

 騎手として積み重ねた30年近いキャリアをもってしても“規格外の存在”だ。「人と同じだよ。気分がいいときもあれば、悪いときもある。この馬は特に我が強い。気分良く走らせるのが、ほかの馬に比べて難しい。だからこういう成績なんだと思う」。ゆっくりと言葉を紡ぎながら、横山典がゴールドシップについて語りだす。

 現役最多の芝G1・6勝という輝かしい実績を誇る一方で、“世紀の大出遅れ”と評された前走・宝塚記念(15着)のような危うさも内在する。「言い訳にはならないが、あの時もパドックや返し馬は良かった。ゲートで隣の馬がガタガタして、それが彼のスイッチを入れてしまった」

 数多くの名馬を知る男でも決して計れない器。「こういう個性のある馬はなかなかいない。おもしろい半面、考えさせられる。何が原因になるか分からないんだ。野性味が強いんだろう。それも込みで応援してほしい」。時に“怪物”と呼ばれ、多くのファンの心を引きつける理由は、こういった部分にあるのかもしれない。

 ゴールドのように制御の難しい馬には“ある程度、自由にさせる”ことを考えるという。「10のうち8を好きにさせ、2は俺の好きにするとかね。9対1になるときもある。人馬一体になるとフィフティーフィフティーではなく“何もなくなる”んだ。気分良く走らせ、俺は乗っているだけ」。いわば馬と騎手との“理想型”。そこへ向かうために、日々の調教やレース直前の返し馬でスキンシップを図っている。

 前走後は、10月22日の発走調教再審査(一発でパス)、先週18日の栗東坂路での1週前リハに騎乗。「自分の思う“普通に走る”ということに近づいている」と手応えは得た。26日の最終追い切りの手綱も取り、さらにシンクロ率を高めてレースに向かう予定だ。

 府中での実戦は13年ジャパンC15着以来2年ぶりとなるが、「まともに走ればとんでもない力があるのは、これまでのレースで証明している。コースがどうとか何も、走るかは彼次第。ちゃんと走ってくれるなら俺もいろいろ得てきたものがあるし、かみ合うんじゃないかな」と言い切る。5カ月ぶりの復帰戦。名手と怪物の“対話”が実った先に、栄光のゴールがある。

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