【桜花賞】ハープ異次元の豪脚で1冠目

 「桜花賞・G1」(13日、阪神)

 牝馬の枠に収まらない“怪物”が、別次元の勝ちっぷりで、まず1冠を手にした。単勝1・2倍の断然人気を背負ったハープスターが、問答無用の大外一気でライバルを撃破。レースレコードタイの好タイムで栄えある桜の女王に輝いた。この後はオークス(5月25日・東京)で2冠奪取を狙い、秋には凱旋門賞・仏G1(10月5日・ロンシャン)で世界最高峰に挑む。

 桜踊る仁川の曇天に、1等星がひときわまばゆい輝きを放った。単勝1・2倍と断然の1番人気を背負ったハープスターが、最後方から衝撃の末脚でライバル17頭をごぼう抜き。「最高にうれしいです」。松田博師に、満開の笑顔が咲いた。

 決してブレることはない。父ディープインパクトをほうふつさせる、いつも通りのファイトスタイルだった。スタート後は迷わず最後方へ。大逃げを打ったフクノドリームが、はるか100メートル以上前で粘り込みを図る姿にもまるで動じない。スタンドのどよめきをよそに直線大外からスパート。阪神JFで後じんを拝したレッドリヴェールを並ぶ間もなくかわし切り、刻んだタイムは1分33秒3‐。10年アパパネと並ぶレースレコードタイだった。

 「馬場に出たらジョッキー次第やから。(レース展開は)気にしていなかったが、やっぱり強いと思いました。一瞬のスピードが違う」。別次元のパフォーマンスに、トレーナーも改めて舌を巻いた様子だ。

 師にとっては93年ベガ、09年ブエナビスタ、11年マルセリーナに続く4頭目の桜花賞馬の誕生。しかし、新たな桜の女王にはとりわけ思い入れが強いに違いない。オークスも制し、2冠牝馬となった祖母のベガは99年ダービー馬アドマイヤベガなど優秀な牡馬を残したが、最後に産み落としたのが唯一の牝馬。それがハープスターの母となるヒストリックスターだった。“忘れ形見”が受け継いだ名牝の勝負強さは、大一番で余すところなく発揮された。「あの子の血を引いているだけに…感動しますね」。在りし日の祖母の姿をだぶらせ、目を細めた。

 仁川の空は府中へ、そして遠くロンシャンにもつながっている。オーナーサイドは次戦をオークスと発表し、改めて仏G1・凱旋門賞への挑戦も明言。「とにかく、無事に行ってくれればな」と指揮官は穏やかなまなざしで愛馬を見つめた。目指すは父ディープインパクトや、オルフェーヴルですら届かなかった世界の頂。さっそうと登場した3歳牝馬が、日本競馬の歴史を鮮やかに塗り替える。

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