【ドバイSC】ジェンティル無念の2着

 「ドバイシーマクラシック・G1」(30日、UAEメイダン)

 日本牝馬によるドバイG1初制覇の快挙はならなかった。「ドバイシーマクラシック・G1」(芝2410メートル、1着賞金300万ドル=約2億8200万円)に挑んだジェンティルドンナ(牝4歳、栗東・石坂)は、海外初戦を飾れず、悔しい2着。直線で勝ち馬を射程圏に入れたが、並び掛けることができず、最後は突き放される形で2馬身1/4差で敗れた。力は示した形だが、残念ながらG15連勝はならなかった。

 「とらえられる!」。馬上の岩田はもちろんのこと、直線で猛然とスパートするジェンティルドンナの姿を見て、日本のファンは勝利を確信した。しかし、もどかしいほどに差が縮まらない。鞍上が全身を激しく揺らして、馬を叱咤(しった)するが、残り100メートルで、逆にセントニコラスアビーが突き放してゲームオーバー。桜花賞からジャパンCまで続いていた連勝は5で途切れ、岩田は「結果を出せずに悔しいし、申し訳ない」と両手を合わせて頭を下げた。

 外枠に泣いた。「外を回らされたな。もう1頭分、内だったら」と硬い表情で回顧した石坂師に、ジョッキーがうなずく。トラックレコードが出た絶好馬場。3日連続、自らの足で芝を走っていただけに、内が有利だったことは分かっていた。「この枠(11頭立て(8)番)だったから逃げることも考えていた。内枠だったらインを取れただろうけど」。道中は勝ち馬の外につける3番手。距離ロスが、徐々に1番人気に推されていた女王のスタミナを奪っていった。

 ウオッカ、ブエナビスタといった名牝でさえ勝てなかったドバイは、やはり牝馬にとって鬼門だった。ゲートに入るまでは、全てが順調。懸念材料だった空輸をクリアして、現地の環境にもすぐになじんだ。ドバイカーニバル恒例の花火も、防音効果の高い特注のメンコを装着したことで、影響を最小限に抑えられた。

 ただ、想定外はゲート内で起こった。日本とは違い、ゲートの側面が板で覆われていたため、左右が気になったジェンティルは、盛んに首を振りイレ込み始める。スタートこそタイミングを合わせて出たが、向正面まで力みが消えることはなかった。「その分、上がりの脚が切れなかったのもある」と、岩田はもう一つの敗因として挙げた。

 それでも、海外初戦で銀メダルは褒められる。「悔しいが、勝ちにいってのものだから大したもの」と石坂師が話せば、岩田も「世界に通用することは証明できた。次につながれば」と顔を上げた。視線の先にある大目標は、秋の凱旋門賞(10月6日・ロンシャン)。砂漠での苦い敗戦をバネにして、花の都パリで大輪の花を咲かせてみせる。

編集者のオススメ記事

レース最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(レース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス