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「安田記念・G1」(6月3日、東京)
個性豊かな3本の矢で、虎視たんたんと春のマイル王の座を狙う‐。西園厩舎が昨年に続いての3頭出しでチャレンジする。前哨戦を制した実力馬のサダムパテック、逃げ一本のシルポートに、重賞で堅実な走りを見せているコスモセンサー。そろって状態面も文句なし。となれば、あとは主役不在の混迷マイルG1に旋風を巻き起こすだけだ。
機は熟した。4歳世代トップ級の実力を誇るサダムパテックが、マイル戦に照準を定めて念願のG1制覇を狙う。
鮮やかな復活劇で、強いパテックが帰ってきた。初めての7F戦に挑んだ前走の京王杯スプリングCは、中団追走から府中の長い直線を制し、昨年の弥生賞以来、1年2カ月ぶりの勝利を収めた。「どのような競馬をするかと思ったが、レースぶりは良かった。結果を出せてホッとした」と担当の塩満助手。長いトンネルを抜け出し、久々の勝利の味をかみしめる。
昨年のクラシックは、オルフェーヴルが3冠馬の栄光を手にしたが、皐月賞(2着)では前年の朝日杯FS(4着)に続き、1番人気の支持を集めたほど。だが、ダービー(7着)、菊花賞(5着)と勝ち星から遠のいていくにつれて、徐々に歯車が乱れてしまった。クラシック直後はG3でも“らしさ”を失った。「菊花賞の後は疲れがあったのかもしれない。あそこで休ませたのは良かった」。前々走後の3カ月余の休養は、体力面の回復だけでなく、走る気力をよみがえらせるいいスイッチになった。
本番に向けて順調な調整が続けられる。中2週のレースを考慮し、1週前の23日はしまい重点だったが、栗東坂路で4F53秒7‐38秒5‐12秒2。スピードに乗ってこう配を駆け抜けた。「前走後は日にちがなかったが、1週前追いもしっかりとやることができたし、馬は元気ですね。使った上積みはあります」と、さらに上昇カーブを描いている。
舞台は再び東京。東スポ杯2歳Sを制しているように、コース相性は文句なしだ。トレセンでは坂路だけでなく、ポリトラックでの調整も施されているが、「以前から左回りの方がスムーズ」と陣営はサウスポーを強調する。距離に関して西園師は「オールマイティー。ただ、3歳馬同士なら菊花賞で5着はあるが、古馬と戦うなら2000メートルまで」と、春はここを目標と力を込めた。
鞍上は前走に続き、豪州の名手ウィリアムズ。心強いパートナーとともに、春のマイル王の座をがっちりと手にする。
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