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「日本ダービー・G1」(27日、東京)
皐月賞には見向きもせず、ダービー一本に絞ったローテで必勝態勢を敷くヒストリカル。父ディープインパクト譲りの瞬発力を武器に、ライバルを一刀両断にする。ジェンティルドンナが牝馬2冠を達成するなど、旋風が吹き荒れるディープ産駒は、ダービーでも登録馬24頭中、実に8頭を占める。父としても衝撃を与え続ける“種牡馬ディープ”は、6年目の種付けシーズンを終えようとしている。
うなりをあげる豪脚は、無限の可能性を秘めている。毎日杯勝ちのヒストリカルが狙い澄ました舞台で、自慢の瞬発力を見せつける。荒れた中山の馬場と小回りのコース形態を考えて皐月賞はパス。短期放牧を挟んでダービー一本に目標を絞って調整してきた。音無師は「疲れも取れてリフレッシュはできた。体も増えているし、追い切りと輸送を考えても、前走くらいか、プラス体重で出せるんじゃないかな」と期待通りの成長に、手応えを口にする。
ヒストリカルの母ブリリアントベリーは、G1・2勝を含む全12勝を挙げたカンパニー(父ミラクルアドマイヤ)を輩出。父親の特徴を子どもにストレートに伝えるタイプというのが、師の見解だ。「フジキセキ産駒のヒーローは短距離だし、トニービン産駒のレニングラードは長いところも走っていたからね」と、これまでの管理馬を例に挙げて説明する。偉大な父・ディープインパクトの遺伝子を受け継ぐ馬のなかでも、その能力を色濃く受け継ぐ潜在能力の高さは計り知れない。
4戦連続でメンバー最速の末脚を披露しているが、2走前のきさらぎ賞では皐月賞2着馬ワールドエースをしのぐ3F32秒8の極限の上がりをマークして2着。自身の武器は、皐月賞組が相手でも決して引けは取らない。調教を担当する生野助手は、帰厩後の同馬から「トモがしっかりしてきて、体全体を使えるようになってきましたね」と、さらなる進化を感じ取る。すごみを増した豪脚を府中の長い直線で一気に爆発させ、ライバルたちをまとめてのみ込むつもりだ。
火曜朝は栗東坂路で調整。4F65秒9‐48秒9‐16秒0をマークし、快活な脚さばきを披露して、翌日の最終追い切りに備えた。日を追うごとに状態を上げているが、指揮官は「2400メートルを回ってきてあの脚が使えるかだな。左回りも、輸送も初めてだし、未知な部分は大きいよ」と慎重な姿勢も見せる。ただ、最後にこうも言った。「期待があるから不安な部分が気になってくるんだけどな」。07年に皐月賞(ヴィクトリー)、08年に菊花賞(オウケンブルースリ)を制したトレーナーが、牡馬クラシック完全制覇に色気を持って送り出す切れ者。父ディープ譲りの瞬発力を発揮して父子ダービー制覇を狙う。
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