舞台生活40周年 大地真央

 舞台生活40周年を迎えた大地真央。宝塚歌劇団で13年、退団後女優として27年。9月には記念舞台ともいうべき「40カラット」が大阪松竹座で9月2~15日、東京芸術劇場で9月18~24日まで上演される。これまでの舞台生活を振り返り、さらに今後への思いを語った。

  ◇   ◇

 ‐舞台生活40周年を迎えました。

 「本当は40周年はさらっと通り過ぎる予定だったんです。あまり40周年、40周年と自分からあまりアピールしたくなくて。でも今回まさに『40カラット』というピッタリのタイトルでお芝居をさせていただくんです。コメディーで、台本を読むだけでワクワクするような作品です。今回、植草克秀さんと藪宏太君らジャニーズの方たちと一緒です。藪君とは、いままで最大の年齢差(34歳)の恋愛です。本当に申し訳ないですね(笑い)」

 ‐『40カラット』ではジャニーズ事務所の方たちと共演します。

 「ジャニーズの方だから、というよりは個々の能力だとは思うんですが、やはり舞台慣れしていて、身体能力も高い。若くてもしっかりしていて、礼儀もきっちりしている。そういえばタカラヅカと似ているかもしれませんね」

 ‐さらに10月には松本人志監督の『R100』の公開も控えている。予告ビジュアル写真でボンデージ姿も披露してます。

 「あまり内容を言ってしまうと楽しみがなくなってしまうと思うので…でも私としては、これまでにない役に挑戦させていただき、すごく楽しかったですね。ぜひご覧になっていただければ。いままでとは違う、大地真央の一面をご覧いただけると思います」

 ◆宝塚歌劇団出身で、退団後は日本を代表する舞台女優として活躍している。

 ‐舞台生活の出発点はタカラヅカでした。芸能界入りを元軍人だったお父様に反対されたとか。

 「そうなんです。もともとお芝居をやりたかったんですが、父がすごく厳しくて、芸能界は反対されたんです。でもタカラヅカなら厳しいからいいんじゃないかと。でも淡路島出身なんですが、同じ兵庫県のタカラヅカは見たことがなくて。入学してからはじめて見たので、普通の生徒とは順番が逆ですね。当時はまだおさげ髪で、男役か女役かも考えてなくて、でも周りがややこしいから髪を切りなさいということで、切って男役になりました。とんとん拍子にスターになったかというと、むしろ逆です。劣等生で入学のときは下から数えた方が早い。入団してから3年目の試験で25番、5年目でようやく1番。そのくらいから、いい役も来るようになったんです」

 ‐タカラヅカといえば、当時の自宅前に真矢みきがファンレターを持ってやってきていたそうですね。

 「そうみたいですね。当時は結構いまと違いおおらかだったので、自宅前にファンが来たことがあったんですよ。はっきりとは覚えていないんですが、いま思えば、印象に残るかわいい女の子がいたので、たぶんその子がそうじゃないかな」

 ◆退団後はミュージカルやストレートプレーなど数々の舞台に主演してきた。

 ‐大地真央にとっての舞台とはなんでしょう。

 「よく毎日同じ芝居をして飽きませんかといったことを言われるんですが、自分では毎回が初日のつもりでやってきています。肉体も気持ちもすべてベストコンディションです。私にとって舞台は神聖な場所なんです。舞台に対しては誠実でありたいと思っています。お客様の心に残るよう、昨日より今日、上に行こうと思っています」

 ‐退団されてからは、映像のお仕事もありますが、やはり舞台が中心。特にこれまではミュージカルが多かったですね。

 「映像のお仕事も楽しいですよ。でもやはり舞台で育ったので、舞台が好きですね。最近はストレートプレーも多くなって。私にとってミュージカルの歌もダンスも、基本はすべてお芝居なんです。そこから延長で歌ったりダンスしたりなので、あまりストレートプレーとミュージカルを分けて考えたりはしないですね」

 ◆華やかな舞台の裏で、苦労もあった。

 ‐思い出に残る舞台は何になりますか。

 「『マイ・フェア・レディ』などは自分にとっても大切な舞台になります。600回以上、(ヒロインの)イライザを演じてきましたから。でも思い出に残るといえば、悔しい思いをしたこともある『クレオパトラ』ですね。公演中に声が出なくなって、1週間ほど休演することになってしまったんです。自分自身すごく悔しくて、でも興行のことを考えると、どなたか代役を立てる方がいい。しかし、当時の松竹会長が『大地真央じゃないとダメなんだ。大地真央のクレオパトラが見たいんだ。復帰を待ってる』とおっしゃってくださったんです。もちろん、それまでも体調管理も含め、舞台に対してはきちんとやってきたつもりでしたが、より舞台に向き合う姿勢が変わってきたと思います」

 ‐それ以降、体調にはより気を付けるようになりましたか。

 「いまは舞台のお稽古が始まったら、千秋楽まで禁酒するようにしています。お酒は何でも飲むし、好きなんですが、舞台へのスイッチが入ると禁酒も苦ではないですね。我慢してるって感じでもない。でもやっぱり千秋楽の後のアルコールはとってもおいしい」

 ‐お酒の失敗はありますか。

 「数々あります。記憶をなくしたことも何度もありますよ。タカラヅカの同期で幹事をやっていた食事会があったんですが、あまりの二日酔いで起き上がれなくて、中止にしようとしたんです。でも同期に叱られて…会場まで這(は)うように行って、記念写真だけ撮ったんです。後から見ると、とても二日酔いの最悪な状態には見えない。同期から『一番きれいに写ってるじゃないの!』とさらに叱られました(笑い)」

 ‐ここまでの40年を振り返って感じることはなんですか。

 「あまり後ろを振り向かないですね。昔はああだったな、こうだったなとクヨクヨ悩まない。いまこれだけ頑張っているということが大事だと思うんです。40周年ということですが、これも一つ一つ大切に積み重なってきた結果で、後で振り返ってああそうだったんだ、と。これから演じる役で『大地真央』を全面にアピールするのではなく、役を押し出しつつ『大地真央』が出せればいいなと思います」

 大地真央(だいち・まお)1956年2月5日生まれ、兵庫県出身。1973年宝塚歌劇団入団。82年月組トップスターに就任。相手役は黒木瞳。85年、退団後は女優として活躍。退団後の代表作に「マイ・フェア・レディ」「ローマの休日」「風と共に去りぬ」など。夫はインテリアデザイナーの森田恭通氏。

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