時代劇お笑い集団 笑撃武踊団・佐々木満氏
今、関西を中心に『笑撃武踊団』なる“時代劇エンターテインメント集団”がお笑い通?の間で大ウケだ。観客参加型の新感覚時代劇「侍カフェ」は抱腹絶倒の面白さ。50を超える題目の脚本を担当する佐々木満氏(36)は、メンバー7人の中でもマルチに活躍、女性客の人気も高い。今年9月で設立11年目を迎える同劇団の夢と野望を聞いた。
‐まずは、笑撃武踊団に入団した経緯から教えて下さい。
「11年前に、現在代表をしている御竹と黒羽他何人かいたメンバーで前身の『笑撃武芸団』ができ、そのころに僕が知り合いまして…そのころ、僕は別のユニットでお笑い的なことをしていたんです。『べグビー』というユニットなんですが、それが解散することになって、武芸団から『やらないか』と声をかけてもらったんですね。でも、今まで一度も『入ります』と言ったことないんですよ(笑)」
‐いつの間にかメンバーになっていた。
「うちの演出家がそこはうまくて『おいしいものがあるよ』って言うんです。独身でいつもコンビニ弁当とか外食が多くて…そんな中で『おいしいものをみんなで食べるから来ない?』って声をかけられ、食べに行くとそこで台本を渡されて『これ読んでからご飯食べよ』みたいな。そうして気がつくと、10年たってました(笑)」
◆当初は外で大道芸人的なイベントや、各地域のお祭りに呼ばれてステージで芸をするとか、その地域の物語をベースに、芝居を打ったりしていたという。
‐関東地方ではどんな活動を?
「見に来られた方を巻き込んで時代劇をするという一風変わったスタイルの『侍カフェ』という芝居を、2年前に新宿でやったことはありました」
‐お客さんの反応はどうでした?
「なぜ東京でやってくれないの?って感じでしたね。5分から10分くらいの時代劇をアラカルトで見せるスタイルで、お客様に時代劇を注文していただくんです。注文されたお客様に、その時代劇に参加してもらい、一緒に空間をつくるというものなんですが、比較的ノリもよかったです」
‐それ以降は忙しすぎて行けない。
「いえ、行けずじまいというか…お声がかかれば喜んで行くんですけど(笑)」
‐東京と大阪のお客さんの質、笑いの質は全然違うでしょう。大阪でうけても東京では全くうけないというような…。
「逆に大阪のお客様が厳しいなと。笑撃武踊団の頭に“笑”がつくぐらい、僕たちは笑いをベースに置いているんですが、大阪のお客様は突っ込んでくるんですね。それは他の地域ではあまりないというか…。東京のお客様は皆さん笑ってくれるんですよ。楽しいものを楽しく見る、お客様のスタンスで来られる。でも、大阪のお客様は何割かは審査員で来るんです(笑)。ただ、その方々は好きになったらずっと応援してくれる。『ワシらが育ててやろう』と。厳しい分、愛情がありますね」
◆観客参加型時代劇の『侍カフェ』は、消滅したものを含め50演目以上ある。その中のいくつかを、参加希望の観客がチケットを購入し、笑撃スタッフと一緒に演じる。
‐その演目すべての脚本を佐々木さんが考えている?
「お笑いはすべて僕なんです。ゼロから1の部分を僕が担当し、それを10にするのが代表の御竹、藤澤で、そこから100にするのが演出の黒羽冴凜、振り付けのLicacoでして…」
‐お客さん参加型というのが面白い。どうやって思いついたんですか。
「お客様も見ているだけより、参加した方が面白いんじゃないかという発想ですね。やる以上は“お大尽様遊び”をしてもらおうと。お金を払って、その場でプロの俳優を従えて演じつつ、見ている他のお客様を楽しませる‐というね」
‐大阪はそのノリでいけても、東京では「私、無理よ」となると思うんですが。
「“お大尽様遊び”には一つのルールがありまして…舞台に上がってない他のお客様はお大尽様に対して『ハ、ハーッ!!』と敬意を払っていただくんです。これを100人単位でやると壮観で、一度上がった方は次も上がろうとなさる。気持ちがいい、と。それだけの人数に、両手をつけて頭を下げてもらえると楽しいですよね」
‐その延長という形で今年『大阪炎上』のタイトルで何回か公演を行っています。
「大阪を舞台としたエンターテインメント、ドラマを色んな方々と作り上げてみようということで、月に1回、6月まで計5回やりました。『侍カフェ』の中で5回連続の“続きもの”という形で行い、先月9日の最終回はストーリーをリニューアルして皆さんに見ていただきました」
‐お客さんの入りはどうでした?
「昼夜2回公演で合計500人入っていただきましたが、それまで僕らは50人呼ぶのがいっぱいいっぱいでしたから(苦笑)。今は東京の方からも来て下さる方もいますし、テレビの効果もあると思います。番組(関西テレビ『ラッキートリッパー』※写真右上)を通じて、うちの看板を背負っている藤澤アニキを応援して下さる方も結構多いですから」
‐脚本家を応援してくれるファンも多くなったのでは(笑)。
「侍カフェで、2月に『バレンタイン選挙』というのをやったんですよ。僕その時“厠総取締役”というのをやりまして…ありていに言えばMC(司会)ですね。それが受けまして」
‐厠総取締役って何ですか?
「ただのMCはお客さんも見たくないだろうと…皆さん、途中でトイレに行かれるでしょ。トイレ=厠を案内する人が司会をしたらどうだろう、ってなったんですよ。いわゆるトイレ番です。それが一番大きな仕事でして(笑)」
‐女性を案内する時は恥ずかしがられるんじゃないですか。
「僕のキャラクターからすれば“姫”ですから。それは僕が恥ずかしがられることはないし、恥ずかしがらせることもないです。あくまで役職として、トイレに行くことも楽しんでいただくようにしています」
◆6月9日に大阪であった本公演では、元関西テレビ・山本浩之アナウンサーも徳川家康役で特別出演。関テレ退職、フリー転向後、舞台デビューを果たした。
「いやあ、さすがでしたね、山本さんは…。いるだけで場が締まりました。でも、一番楽しんで下さってましたよ」
‐笑撃は今年で結成11年目。最終的な目標、野望は?
「日本の持っているモノは格好いいと思ってまして。着物一つとっても、食事の作法をとっても…そんな『日本の格好いい』をいろんな国の人に知ってほしいですね。東京進出だけでなく、海外で公演できたらいいと思ってます」
‐最後に、ライバル視している劇団を挙げて下さい。
「“あまちゃん”で有名な宮藤官九郎さん所属の『劇団大人計画』とか『劇団☆新感線』です。ムチャクチャおこがましいですが(笑)。皆がリスペクトしているのはザ・ドリフターズ。志村けんさんや加藤茶さんに、うちの公演に出ていただけたら最高ですね!!」
佐々木満(ささき・みつる) 1977年1月11日生まれ、大阪府東大阪市出身の36歳。布施工業高校を卒業後、数々の職業を転々とした後、お笑いイベントユニット『べグビー』を結成。26歳で解散して『笑劇武踊団』に身を投じ、脚本家、構成作家、さらに舞台役者として活躍、現在に至る。関西テレビ「ラッキートリッパー」(火曜深夜2時58分~)の構成作家を務めている。独身で大の阪神ファン。
