冨田真由さん「懲役17年でも短いのに…」 岩埼被告に懲役14年6月

 東京都小金井市で、音楽活動をしていた大学生、冨田真由さん(21)を刺したとして殺人未遂罪などに問われた無職岩埼友宏被告(28)に、東京地裁立川支部の裁判員裁判は28日、懲役14年6月(求刑は懲役17年)の判決を言い渡した。阿部浩巳裁判長は被告に、裁判員からの伝言として「被害者の夢を奪った重大さを自覚する必要がある」と語り掛けた。

 冨田さんの弁護士は、判決内容を聞いた冨田さんが「懲役17年でも短いと思っていたのに」とつぶやいたことを明かした。

 「被害者が抵抗できなくなっても執拗(しつよう)に刺し続けており、危険かつ悪質。死亡してもおかしくない状況だった。殺意も強固だった」。背中を丸めた姿勢で判決理由を聞いていた岩埼被告は、被告席でがっくりとうなだれた。

 判決直前には意見陳述の機会が与えられ「冨田さんと家族に多大な迷惑をかけ、申し訳ありません。(23日の公判で)衝動的に大声を出し、怖い思いをさせ、心から反省しています。今後、二度と冨田さんに近づかない、関わらないことを誓います」と述べた。

 23日の公判では、出廷した冨田さんが「陳述をしている間にもきっと心の中では笑っていて、反省は一つもしていないと思う」と意見陳述した際に、「じゃあ、殺せよ」などと叫び、退廷を命じられていた。

 この日は一転、殊勝な態度を示した。裁判長が裁判員からの伝言として「被害者の夢を奪った重大さを自覚する必要がある。社会に戻っても長い人生がある。自分をコントロールし、社会で生活していく姿勢を身に付けてほしい」と語り掛けると「忍耐力を身に付けてまっとうな人間になりたい」と反省の言葉を繰り返した。

 しかし、被害者の弁護士は閉廷後、判決内容を聞いた冨田さんが、しばらく沈黙したあと「懲役17年でも短いと思っていたのに」と悔しさからぼう然とした様子を報告した。身勝手な反省の言葉の羅列は、被害者にはまったく届かなかった。

 閉廷後、裁判員を務めた50代の男性は記者会見し、メッセージについて「服役によって人生を考え、更生してほしいとの思いを込めた」と説明した。公判で岩埼被告が大声を出しても陳述を続けた冨田さんについて「勇気がある」とたたえた。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス