中村蒼、腹くくった役作りと怪演で話題
目を疑うほどインパクト大のビジュアル。俳優の中村蒼(24)が、来週16日に最終話を迎えるフジテレビ系ドラマ「無痛~診える眼~」(後10・00)で先天性無痛症と無毛症を患う主要人物・イバラを演じ、腹をくくった役作りと怪演で話題を呼んでいる。近年でも類を見ない難役を演じる胸の内とは。徹底した役作りで知られる俳優ロバート・デ・ニーロ(72)の“デ・ニーロ・アプローチ”ならぬ“中村アプローチ”に迫った。
一目見たら忘れない。髪も眉もなく、もはや別人レベルまで変身した中村だが「僕の周りの人たちは、びっくりするくらい…反応ないです」と言うから、ずっこけた。
過去作では何度か髪を丸めている。そることに抵抗はなかったが「覚悟は要りました」と表情は真剣。撮影前夜と当日の朝に頭を電動ひげそりで整えるのがルーティンという。
「夜にそっても朝にはザラザラしている。撮影が長引いても伸びてくるので、常にひげそりを持ち歩いて、ジョリジョリしてます。慣れたものです」
貸川聡子プロデューサーは「爽やかな好青年というイメージだった中村さんが、ドラマや映画などで振り切った演技をしているのを見て、オファーした」と明かす。近年の作品選びは確かに一筋縄ではいかない役が多い。
ドラマ「洞窟おじさん」では、真っ黒な顔で洞窟暮らしの青年を演じた。公開中の映画「春子超常現象研究所」では心を持ったテレビ役と、もはや人間ですらない。ネットカフェ難民、特攻隊員、少女漫画家…多彩な20代を迎えている。
デ・ニーロを始め、日本でも「野獣死すべし」のため、歯を4本抜いた松田優作さんなど、役作りの伝説は俳優史を彩る1ページ。最近では鈴木亮平(32)の大幅な体重増減が話題となった。
「逆に僕のスキンヘッドでそんなに言わないで、って感じですね。でも、何でもやりますって、それくらい打ち込める役に出会いたい。ちゃんとやれば、見てる人に届くと信じているので」
10代ではイケメン学生役のイメージが強かったが、素顔は寡黙な九州男児。爽やかなルックスの裏で燃える役者魂が、さらなる“異色キャラ”を呼び込んでいくはずだ。
◆中村蒼(なかむら・あおい)1991年3月4日生まれ、福岡県出身。2005年、雑誌のコンテストでグランプリ。06年、舞台「田園に死す」で主演デビュー。15年、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭ニューウェーブアワード受賞。主な出演作にドラマ「八重の桜」「なぞの転校生」「本棚食堂」、映画「BECK」「東京難民」、舞台「熱海殺人事件NEXT」「つく、きえる」など。身長175センチ。