仲間版「放浪記」は自ら提案の側転!
女優の仲間由紀恵(35)が故森光子さん(享年92)の当たり役を引き継いだ舞台「放浪記」が14日、東京・シアタークリエで開幕した。森さんが1961年の初演から09年まで、上演2017回を積み重ねた国民的作品。『でんぐり返し』で森さんが主人公の喜びを表した名シーンは、『側転』へと変更され、劇場は観客のどよめきと拍手で包まれた。
国民栄誉賞女優が心血を注いだ名作を、“2代目”として汚すわけにはいかなかった。緊張とプレッシャーが入り交じった再出発。3時間30分に及ぶ熱演を終えた後のカーテンコールで、仲間は満席の600人から万雷の拍手を浴びた。
「この作品は高い山のように頂上ははるかかなたにあるように思いますが、私たちなりに役を追求して参りました。半世紀かけて大切に育てられた大先輩の森光子さん、新生放浪記の誕生を見守ってくださったお客さまに、感謝申し上げます」。達成感を漂わせる笑顔であいさつし、頭を下げた。
物語中盤に訪れる、主人公の作家・林芙美子が著作「放浪記」が雑誌に掲載されたことを知り、喜びを爆発させるシーン。森さんは41歳で迎えた初演から『でんぐり返し』で、87歳以降は『バンザイ』で表現してきた。35歳の仲間は着物から美脚をのぞかせ『側転』を繰り出し、続けざまに横向きでゴロゴロと2回転。“連続技”に客席からはどよめきと拍手が起きた。
目玉ともいえる新演出は仲間の提案だった。スマートフォンで撮影した自身が側転する動画を、スタッフにプレゼンテーション。『3回転でんぐり返し』など複数の候補から選ばれた。“伝統芸”を新たに生まれ変わらせた仲間は、開幕前日会見で「動きが大きく見えることもありますし、気持ちが伝わるかなと思いました」と狙いを説明した。
来年1月31日まで大阪、名古屋、福岡を回る計105公演。まずは森さんの命日である11月10日の東京公演千秋楽までが、新たな歴史の第1幕となる。
