“攻めダルマ”池田・蔦監督が映画に
今春22年ぶりに甲子園に出場して脚光を浴びた徳島・池田高校の故蔦文也監督(享年77)のドキュメンタリー映画を孫の映画監督・蔦哲一朗氏(29)が製作中だ。祖父の存在が再注目された年に自身は映画「祖谷物語‐おくのひと‐」で劇場デビュー、7日から都内でアンコール上映も始まる。同じ「監督」として一歩を踏み出した哲一朗氏に新作への思いなどを聞いた。映画は秋に完成予定だ。
新作のタイトルとして温めているのは「蔦監督」。野球部監督の祖父と映画監督である自分を重ねたものだ。
作品で哲一朗氏は、ゆかりの人々から話を聞き、自身の目線を通し、3度の全国制覇を達成し「攻めダルマ」と呼ばれた祖父の実像に迫る。「褒めるだけのドキュメンタリーはつまらない。蔦文也の本性がどこにあったか。孫だからこそ、あらわにしていきたい」と意気込む。
子供心に祖父が有名人だとは理解していたが、野球を教えられたことも、2人で話し込んだ思い出もない。だが、祖母キミ子さんをはじめ40人近くを取材。遠い存在だった祖父に近づきつつある。「酒飲みなのはかわいいものでゴタゴタもたくさんあった。でも、町全体の奇跡みたいな憎めないすごさもある。じいちゃんは幸せな人という結論にはなる」。
製作開始段階では低迷状態を描くつもりだった池田高は、今春甲子園に出場。祖父の存在が再注目されたことに「タイミングってあるんでしょうね。じいちゃんの力かな。甲子園に帰ってきた池高を撮れてよかった」とほほ笑む。
映画にのめり込み、仲間と作った映画製作集団で宣伝や売り込みも行う。日雇いのバイトをこなしながらも、今年、「祖谷物語」で劇場デビュー。世界は違えど、祖父と同じ「監督」として一歩を踏み出した。
「じいちゃんは家族に興味のない、野球にしか興味がない人だった。それは自分にも通じる。今は家族はいないけど、僕も映画か家族かと言われたら、映画を選ぶと思う」。祖父の熱い血は、しっかり受け継がれている。
