筑波大学生撮影の「いわきノート」上映

 福島県いわき市の人々の声を紡いだ、ドキュメンタリー映画「いわきノート FUKUSHIMA VOICE」の上映会が11日、茨城県つくば市内で開催される。「福島の人たちの声を世界に届けよう」と筑波大学の学生11人が取材、撮影した作品。すでにいわき市や都内で完成披露上映会が開催され、観客との意見交換会も行われている。

 かつて炭鉱の街として栄え、フラガールでも知られるいわき市は、福島第一原発の最寄りの都市であり、周辺町村から避難してきた2万人以上を受け入れている。

 映画から人々が発する声は、答えの見つからない問いを投げかけてくる。原発事故の影響で漁に出られない漁師たちは「漁をして食べてくれる人がいればいいが…」とつぶやき、「もし、魚を捕ってきたら、おたくら食ってくれる?」と取材者の学生に問う。

 仮設住宅で一人暮らす女性は、明るく振る舞いながらも「自分の家で死にたい。だけど、もう年だから」と帰るめどの立たない故郷を思い涙する。

 未来への希望を見いだそうとする声も聞こえてくるが、やり場のない怒りや葛藤、住民同士の軋轢(あつれき)など解決できない問題が作品からは浮き彫りにされる。

 取材、撮影した筑波大の11人は、大学の単位とは関係なしに志願して映画製作に飛び込んだメンバーだ。ある学生は、原発事故をきっかけに、自身が広島出身であり祖母が被爆者であることを再認識し「いろんなことを考えていきたいと思った」と語る。

 撮影は昨年9月に行われたが、学生たちは、その半年前から機材を持たず、いわき市を訪れ住民と交流を重ねた。地域の人たちと心を交わしたことで、別次元の世界に見えていた被災地への意識も変わったようだ。

 「自分にとって去年まで、震災は人ごとに近かったが、撮影で出会った人たちが、どんな思いで3・11を迎えるのかを考えていきたい」。別の学生は「悲しい思いをした人たちのところに足を踏み入れた。これからも何らかの形で関わっていく」と決意を示す。映画を広く届け、出会った人たちとの交流を続けながら、いわきの未来を見続ける。

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