外れ馬券「必要経費」も“特例”扱い

 競馬の払戻金を申告せず5億7千万円を脱税したとして、所得税法違反(単純無申告)の罪に問われた大阪市の元会社員の男性(39)に対する判決が23日、大阪地裁(西田真基裁判長)であり、「営利を目的とし継続的に馬券を購入した場合は、外れ馬券の購入費も必要経費になる」との判断を示した上で、脱税額を5200万円に減額して懲役2月、執行猶予2年(求刑懲役1年)を言い渡した。外れ馬券の経費算入についての初の司法判断とみられる。一方で、一般的な馬券購入による払戻金は今回認められた「雑所得」ではなく、「一時所得」としており、今回の判決がすべての馬券ファンに当てはまるわけではない。

 黒のスーツに身を包んだ元会社員は、ほとんど動くことなく、じっと裁判長を見つめたまま、40分近く判決を聞き入った。判決後、元会社員は「主張が全面的に認められた」とのコメントを出し、控訴しない方針を示した。

 元会社員は2007~09年、インターネットで28億7千万円分の馬券を購入し、払戻金30億1千万円を得ていた。

 国税庁通達は、競馬の所得を偶発的な「一時所得」としている。この場合、経費とされるのは「収入に直接要した金額」とされ、検察側は当たり馬券購入金額のみと主張していたが、判決は「原則的には一時所得だが、元会社員の馬券の購入方法は一般的な馬券購入とは異なり、継続性があり、娯楽にとどまらず、資産運用の一種だ」と判断。外国為替証拠金取引(FX)や先物取引と同様に「雑所得」と指摘し、雑所得の課税実務に合わせ「外れ馬券の購入費も必要経費」と判断した。

 所得は当たり馬券代だけを差し引いた28億8千万円ではなく、3年間の競馬による所得を「1億4千万円」と認定。一方、有罪とした理由については「申告義務を認識しながら国税当局が摘発しないと身勝手な判断をした。納税意識を欠いた犯行」と述べた。

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