個性派・小沢昭一さん死去…83歳

 俳優でTBSラジオの名物長寿番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」のパーソナリティーを務めた小沢昭一さんが10日午前1時20分、前立腺がんのため都内の自宅で死去した。83歳だった。8月に体調を崩し9月24日から番組を休養、入退院を繰り返しながら静養に努めていたが、帰らぬ人となった。通夜は14日午後6時から葬儀・告別式は15日午前11時から東京・新宿の千日谷会堂で営まれる。喪主は妻・英子さん。

 演技、笑い、語り…多彩な才能で芸能に生きた個性派が、旅立った。

 所属事務所によると、小沢さんは今年8月に体調不良と体力低下を訴え、9月24日からはラジオ「小沢昭一の‐」を休養。入退院を繰り返し静養に努めていた。10月22日に退院した際は歩けるまで回復した時期もあった。その後は本人の希望もあり、医師の許可を取り付け自宅療養を続けていたが、ここ一週間ほどは意識がもうろうとした状態で、最期は英子夫人に見守られながら静かに息をひきとったという。

 小沢さんは98年に発症した前立腺がんと最期まで戦っていた。10年に頸椎(けいつい)に転移したがんは最終的には全身を侵し周囲の目にも辛(つら)い様子は伝わったが、一切弱音を吐かずに仕事に向かった。しかしながら、10月16日放送のラジオ「小沢昭一の‐」内での「早く元気になって、皆さんの心の穴を埋めていきたい」という病床からの言葉が、ファンに伝えられた最後の肉声となった。

 73年1月8日にスタートしたラジオ「小沢昭一の‐」は、ライフワークというべきものだった。一人語りで進む番組は、時事問題から下ネタまで幅広い話題を取り上げ、“昭和一けた世代”の小沢さんが、軽妙かつユーモアたっぷりに中年男性の悲哀を語る話術は、大きな支持を集めた。また番組内では童謡、唱歌、戦前戦後の流行歌なども紹介され、小沢さんの歌う「俺たちおじさんには」が収録されたアルバムも発売されている。

 小沢さんの休養以降、同番組では過去の傑作選を放送し、最終回となった今月7日までに放送回数は1万410回を数えた。放送40年を迎える来年1月8日まで、あと1カ月を切った折の訃報(ふほう)だった。

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