【2】プロで一番長い距離を走ってきた
「室田淳の鉄人トーク・第2回」
この年まで元気にプレーできている秘けつをよく聞かれるけど、何か特別なトレーニングをしているわけじゃないんだよ。ただ、自分の中で昔からずっと大切にしていることは「走る」ことだね。
中高生の時は野球をやってたから、とにかくよく走らされた。「走れ走れ」の金田正一さんじゃないけど、自分もスポーツの基本は走ることだと思う。走ることで体のバランスが良くなるし、下半身を鍛えながら心拍数も上げることができる。
だから、プロになってもずっとランニングは続けているよ。冬場のこの時期は特によく走っている。若いころは毎日10キロ、今は5キロくらいかな。家の近くにある川の堤防沿いを走るんだよ、昼間の暖かい時間にね。寒い日や雨の日は走らない。無理すると続かなくなっちゃうから(笑)。
自分でいうのも何だけど、こんな生活を何十年も続けてきたわけだから、いつも自分の中には「プロゴルファーの中でオレが一番長い距離を走ってきた」という自負はある。ゴルフの腕は大したことないけど、走った距離ならだれにも負けていない。そういう思いがあるから試合でも苦しい場面になると「負けねえゾ」っていう気持ちがわき出てくるんじゃないかな。走ることをやめたら自分は終わりだと思っている。
シーズン中は試合があるから、そんなに走れないけど、トレーニングはきちんとやっている。ラウンド前はストレッチの後、腕立て50~60回、腹筋100回以上、そしてスクワットも50回ぐらいやってから「よし、きょうも行くぞ!」ってコースへ飛び出すんだ。
ラウンド後もストレッチやマッサージは欠かさない。年を取ってくると、だんだん筋肉が硬くなって弾力性がなくなってくる。ケアしておかないと故障につながるからね。
それと自分はお酒を飲まない、というか飲めないから、食事に出掛けても夜更かしすることがない。早寝早起き。これも体にいいのかもしれないな。
(協力 ザ・リッツ・カールトン大阪)
◆室田 淳(むろた・きよし)1955年7月26日、群馬県出身。太田高を経て日体大に進み、19歳からゴルフを始める。27歳でプロテストに合格し、91年のブリヂストン阿蘇オープンで初優勝。ツアー通算6勝。昨季は日本オープンで6位に入るなどし、史上最年長59歳にして賞金シードに返り咲いた。シニアツアーでも通算12勝を挙げ、06、07、13年と3度賞金王に輝く。家族は妻と3女。180センチ、80キロ。サメジマコーポレーション所属。