【4】恩人・上原プロとの出会いで開眼

 「室田淳の鉄人トーク・第4回」

 5度目のプロテストで合格し、27歳でプロゴルファーになったんだけど、そこからツアーに出られるようになるまでまた3、4年はかかったかな。

 ようやく試合に出られるようになったころに、僕のゴルフ人生にとって大きな出会いがあった。プロ仲間から紹介されたのが上原宏一プロ=顔写真=だった。僕より8つ年上で、1984年には日本オープンでも勝っているすごい選手なんだけど、この人がとてもいい人で、いろいろお世話になった。

 オフは宮崎やニュージーランドでの合宿に誘ってもらったり、ツアーでも一緒に行動したりした。練習ラウンドの時は、本番さながらによくスコアの勝負もしたけど、上原さんはまったくボギーを打たないんだよ。特にショートゲームが素晴らしく上手で、僕は全然勝てなかった。

 どうやったら上原さんみたいなアプローチが打てるのか。いろいろ考えた末に打ち方を上原さんとまったく同じにしたんだ。といっても別に教えてもらったわけじゃなく、上原さんの打ち方をじっくり観察して、イメージやフィーリングをマネしただけなんだけど、すると、まるで手で放るみたいにピンに寄るようになった。

 とにかくこれが大きかった。当時は今ほどツアーのレベルも高くなかったから、ボギーを打たずにパープレーで回っていれば予選も通るし、上位にいけた時代だったからね。ドライバーだって曲がるし、アイアンだってグリーンに乗らないこともある。でも、そこで簡単にボギーを打つのとパーでいくのとでは大違い。アプローチが良くなったことで、僕も徐々に試合で稼げるようになった。

 残念なことに、上原さんは6年前、白血病で61歳の若さでお亡くなりになった。改めて感じるのは、上原さんと出会わなかったら、今の僕はなかったということ。途中でゴルフは辞めてたんじゃないかな。レギュラーツアーで6勝し、今こうやってシニアツアーでもいい思いができているのも上原さんのおかげ。僕の恩人です。

(協力 ザ・リッツ・カールトン大阪)

 ◆室田 淳(むろた・きよし)1955年7月26日、群馬県出身。太田高を経て日体大に進み、19歳からゴルフを始める。27歳でプロテストに合格し、91年のブリヂストン阿蘇オープンで初優勝。ツアー通算6勝。昨季は日本オープンで6位に入るなどし、史上最年長59歳にして賞金シードに返り咲いた。シニアツアーでも通算12勝を挙げ、06、07、13年と3度賞金王に輝く。家族は妻と3女。180センチ、80キロ。サメジマコーポレーション所属。

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