【10】藍ちゃん目標の世代がツアー主役に

 「藤井かすみのよもやま話・第10回=強者ぞろい 韓国選手2」

 前回は韓国勢の強さについて触れました。日本にもいい選手はたくさんいますが、過去5年で4度も韓国選手が賞金女王になるなど押され気味であるのは事実です。ただ、この状況は長く続かない。ここ数年以内に、勢力図に大きな変化があると私は見ています。

 少し前に話をさかのぼってみます。韓国でゴルフブームの火付け役となったのが朴セリ選手です。1998年に米ツアーに初参戦すると、その年に全米女子オープンと全米女子プロのメジャー2冠を獲得。この快挙をきっかけに韓国のジュニアたちがこぞってゴルフを始めました。メジャー通算6勝を挙げた朴セリ選手に憧れ、その活躍する姿を見て育った世代が今、日本ツアーで活躍しているのです。

 一方、日本とはというと、ジュニアの火付け役となったのが宮里藍選手でした。2003年にアマチュア優勝を飾り、藍ちゃんフィーバーが到来。“第2の藍ちゃん”を目指してジュニア世代が一気に増え、また、その親たちも熱心に子供たちにゴルフをさせるようになったのです。

 それまでのゴルフといえば“おじさんたちのスポーツ”というイメージでしたね。私だってゴルフを始める前は「止まってるボールを打ったり、カップにボールを入れて何がうれしいの?」って感じでしたから(笑)。

 もちろん、以前にもゴルフをやっている子供はいました。でも、その数は少なく、体が大きかったり、運動能力のある子はバスケやバレー、陸上などのメジャースポーツをやるのが一般的でした。しかし、藍ちゃんの優勝をきっかけに、身体能力に優れた子供たちもゴルフを始めるようになりました。韓国での朴セリ選手によるブームから5年遅れて、日本にもジュニアブームが到来したのです。

 今、その5年の差が出ているだけで、藍ちゃんを見て育った日本の選手たちが間もなく日本ツアーの中心になると思います。現在、私もジュニアの育成に携わっていますが、本当に楽しみな選手がそろっています。そして、私自身は5年後の東京五輪へ最低2人はオリンピアンを輩出したいという目標を持っています。

 ◆藤井かすみ(ふじい・かすみ) 1967年11月30日、山口県岩国市出身。広島・安田女子高時代からソフトボール選手としてならし、東京女子体育短大時代は全日本大学選手権で優勝し、日本代表にも選出。23歳からゴルフを始め、95年にプロテスト合格。01年ベルーナレディースで初優勝を飾り、ツアー通算10勝をマーク。師匠は岡本綾子。夫は競輪選手の高橋健太。現在は兵庫・マスターズゴルフアカデミーでジュニアらを指導。162センチ、64キロ。

編集者のオススメ記事

主要ニュース

ランキング(ゴルフ)

話題の写真ランキング

写真

リアルタイムランキング

注目トピックス