【3】「お買い物デー」でストレス発散

  「藤井かすみのよもやま話・第3回=ツアープロの生活3」

 厳しい勝負の世界で勝ち抜いていくために、コース内での戦いはもちろんのこと、コースを離れても食事から睡眠に至るまで気を使い、神経をすり減らしていることは先週お話ししました。その分、溜まるストレスも半端なものじゃありません。

 そのストレスを発散するのが、トーナメントを終えた翌日、つまり月曜日なのです。私の場合は「お買い物デー」となります。頑張った自分へのご褒美に、洋服や宝石なんかをよく買いました。

 幸い、私は予選落ちもほとんどなく、毎週のようにお金を稼ぐことができました。プロになるまではそんなに裕福な生活を送っていたわけじゃなかったので、ふと「こんなぜいたくな暮らしをして大丈夫かな?」と心配になることもありましたが、そんなことを思うのもほんの一瞬だけ。「毎週が給料日」だったので、楽しくて仕方なかったですね。今となってはそのお金、いったいどこへ行っちゃったのかしら~という感じですが(笑)。

 といっても、みんながみんなトーナメントでお金を稼げるわけではありません。予選落ちすれば賞金はなし。すなわち赤字を意味します。交通費、宿泊費、キャディー代など遠征の経費は、すべて身銭を切ることになるわけですから、これは本当に痛い。特に何試合も予選落ちが続いている選手は、毎週お金が出ていくばかりで、どんどん赤字は膨らんでいきます。成績を残せないと、ツアープロは大変です。

 では、活躍できるプロと、いつまでたっても活躍できないプロとは何が違うのか。私は目の前のチャンスをきちんとつかめるかどうかだと思います。チャンスをものにして、いい流れに乗れれば、しめたもの。次第に周りの目は「活躍して当たり前、優勝して当たり前」というふうに変わっていきますし、選手自身もそう思い込むようになります。するとなぜか試合でも思い描いた通りの結果になっていくのです。これを「成功の法則」というのでしょうね。(プロゴルファー)

 ◆藤井かすみ(ふじい・かすみ) 1967年11月30日、山口県岩国市出身。広島・安田女子高時代からソフトボール選手としてならし、東京女子体育短大時代は全日本大学選手権で優勝し、日本代表にも選出。23歳からゴルフを始め、95年にプロテスト合格。01年ベルーナレディースで初優勝を飾り、ツアー通算10勝をマーク。師匠は岡本綾子。夫は競輪選手の高橋健太。現在は兵庫・マスターズゴルフアカデミーでジュニアらを指導。162センチ、64キロ。

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