阿部 大観衆の面前で沢村の頭ポカリ!「しっかりしろ、お前!」

 【2012年10月29日付デイリースポーツ記事より】

 「日本シリーズ第2戦、巨人1-0日本ハム」(28日、東京ド)

 巨人が1‐0で逃げ切り、2連勝とした。先発の沢村拓一投手(24)が8回無失点と好投。山口、マシソンとつないで、初回の長野久義外野手(27)のシリーズ史上12本目(11人目)となる先頭打者本塁打で奪った1点を守りきった。第3戦は舞台を札幌ドームに移して30日に行われる。

 うなる剛速球。敵を圧倒するすさまじい気迫。沢村が日本シリーズの大舞台で、快投ショーを演じた。8回3安打無失点で、ハム打線を制圧。2連勝に導き「思い切ってやるしかない。腹をくくってやりました」と誇らしげに胸を張った。

 絶対に流れを断ち切らない‐。心に誓い、マウンドへ上がった。初戦は内海が7回無失点で勝利。「内海さんが素晴らしい投球をした。内海さんの投球に負けないようにと思っていた」。普段と違い、内海と同じテーマ曲で入場。ふたを開ければ内海を上回る結果を残した。

 圧巻の投球だった。108球のうち、直球が78球。150キロ超えはなかったが、キレ味鋭く、直球狙いでもバットに当たらない。八回は代打杉谷、陽岱鋼、西川を3者連続三振。大観衆はどよめき、沢村はマウンド上で雄たけびを上げた。

 初の日本シリーズ。沢村を本来の姿に立ち直らせる“事件”もあった。一回、2死球を与え、2死一、二塁のピンチ。この場面で、1ストライクから二塁けん制のサインが出たが、沢村が見落とすミスを犯した。

 すると、大黒柱の阿部がマウンドへ歩み寄り「しっかりしろ、お前!」と鬼の形相で一喝。大観衆の面前で、沢村の頭をポカリとたたいた。「サインを見落とすことはあってはならないこと。大事な試合でミスをしたら負ける」と反省。大きく息をつき、平常心で稲葉に立ち向かい、一ゴロに打ち取った。

 シーズン終盤は絶不調。ポストシーズンの構想からも外れかけたが「自分がやってきたことを信じてやるしかない」。帽子のツバには“信”の一文字を記し、マウンドへ上がった。CSファイナルSでは、がけっぷちの3連敗を止め、この日は勢いを加速させる快投。己を信じ抜き、大事な終盤で完全復活した。

 沢村の能力を信じ、起用を続けた原監督も「ひとランク上がった。非常に頼もしい」と満面の笑み。一方のヒーローはお立ち台でお決まりのフレーズ「あさっても勝つ!」を絶叫。“沢村ショー”を締めくくった。

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