23歳“未完の大器”中野寛太が初V 旗判定で五輪2大会の原沢久喜に勝利 「ロス五輪を狙っていきたい」

 決勝で原沢久喜(右)を攻める中野寛太
 全日本選手権で初優勝した中野
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 「柔道・全日本選手権」(29日、日本武道館)

 体重無差別で争われ、天理大出身の23歳、中野寛太(旭化成)が、決勝で五輪2大会出場の原沢久喜(31)=長府工産=を2-1の判定で破り、初優勝を飾った。準決勝では、昨年覇者で通算4度優勝の王子谷剛志(旭化成)に一本勝ちした。今大会は延長戦廃止の独自ルールで行われ、8年ぶりに旗判定が復活。パリ五輪代表や世界選手権(5月・アブダビ)の個人戦代表は出場しなかった。

 23歳の未完の大器がついに覚醒した。中野は五輪2大会出場の原沢との頂上決戦で、スピーディーに技を仕掛けながら集中力を切らさなかった。8分間で決着はつかなかったが、判定で視界に入る2人の審判が上げた旗は1-1。「後ろ(の副審)を向くのが怖かった」。勝ち名乗りを受けると「夢みたい」と、かみしめるようにグッと拳を握り、天を仰いだ。

 「最高です。内容は良くなかったが、勝ち切れたことは良かった。昨年は(早期敗退で)情けない気持ちで、この大会で優勝することだけに集中してきたが、間違いじゃなかった」

 奈良出身で天理中、天理高、天理大と関西の名門で攻撃柔道を磨いてきた。最重量級ながら積極的に技を出せる新世代として10代から期待されてきたものの、高校時代のライバルだった1学年下の斉藤立(JESグループ)に後れを取り、今夏のパリ五輪を逃した。

 眠っていたポテンシャルが“目覚める”一つのきっかけとなったのは睡眠だった。以前は「寝なくても大丈夫やろ」と高をくくり、5時間程度の睡眠で生活してきたが、昨年2回戦で敗退したことで猛省。「自分の弱さと向き合い、優勝するためだけに生活してきた」。生活態度を改めて毎日9時間寝るように努め「眠くなることがなくなった」と練習への集中力が増した。「夜中に携帯電話を触りたくなっても、優勝するためと思ったら(触らず)置ける」。日々のささいな我慢が、大一番での執念、集中に変わり結果に結びついた。

 幼少期から憧れだったビッグタイトルをようやく手にし、出世への第一歩を踏み出した。「来年の世界選手権や、(28年)ロス五輪を狙っていきたい」。枕を高くしつつ、さらなる夢を見に行く。

 ◆中野寛太(なかの・かんた)2000年9月30日、奈良県出身。5歳から柔道を始め、天理中から天理高に進み、2年時の17年全国高校総体で優勝。天理大卒業後の23年4月に旭化成に入社し、同年11月の講道館杯でシニア初の主要全国大会を制した。24年GSパリ大会で3位。左組みで得意技は払い腰。182センチ、125キロ。

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