貴景勝3度目V!来場所地元で綱取り 1人大関の意地で義父の優勝回数超えた

 琴勝峰(右下)を下し、優勝を決めた貴景勝(撮影・伊藤笙子)
 関係者らに祝福される貴景勝(前列中央)=代表撮影
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 「大相撲初場所・千秋楽」(22日、両国国技館)

 大関貴景勝が初優勝を狙った琴勝峰との相星決戦を制し、12勝3敗で13場所ぶり3回目の優勝を飾った。125年ぶりの1横綱1大関となった場所で横綱照ノ富士も休場する中、4場所連続の平幕優勝を阻止。一人大関としての重責を果たした。春場所(3月12日初日、エディオンアリーナ大阪)では再び綱取りに挑む。また今場所十両復帰し、14日目に優勝を決めた元大関の朝乃山は14勝目を挙げ、8場所ぶりの幕内返り咲きに前進した。

 覚悟が違った。最後の塩を取りに行った貴景勝は目を閉じ、息を吐いて集中を高めた。ゆったりとした仕切りから頭で当たって左を差すと、すかさず豪快なすくい投げで琴勝峰を裏返し。優勝を決めても表情を変えず、埼玉栄高の後輩に大関の貫禄を見せつけた。

 2年以上、優勝から遠ざかった。「途中苦しい場面があって、家族とかいろんな人に支えられて、最後まで諦めずやれて良かった」。久々の味をしみじみとかみしめた。元大関北天佑の次女である有希奈夫人と結婚後、初めての優勝。義理の父の優勝回数(2回)を超えたことにも自ら触れ「すごいうれしい」と二重の喜びを口にした。苦しんだ期間に第1子となる長男も誕生。支えてくれた家族に応えた。

 看板力士の重責もパワーに変えた。平幕優勝が3場所続き、横綱不在で一人大関として臨んだ今場所。「期待してもらっていることはありがたいこと。誰もが大関になれるわけではない。この重圧を感謝に変えて、この2年間、取り組んで来ました」。プレッシャーに真っ正面から向き合い、結果を出した。八角理事長(元横綱北勝海)も「最高の評価でしょう。1人で看板を背負ってやってきましたから。価値ある優勝ですよ」と絶賛した。

 突き押しだけでなく、取り口を広げる試みも実った。今場所は小手投げとすくい投げで3勝。稽古で隆の勝を相手に、自身の形にならなかった時の対応を磨いてきた。「特に最近は増えてきた。いろいろ考えて、自分なりに動いている」と師匠の常盤山親方(元小結隆三杉)。その新たな武器で優勝を決めた。

 優勝力士として臨むご当所の春場所。佐渡ケ獄審判部長(元関脇琴ノ若)は「何とも言えないところ」と慎重に言葉を選んだものの、綱とり場所となることはほぼ確実だ。「私生活から、稽古はもちろん、ケアの仕方、もっと相撲に謙虚になって頑張っていきたい」と貴景勝。地位にふさわしい覚悟が備わった大関が、夢をかなえる勝負の春に挑む。

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