元稀勢の里、荒磯親方が朝乃山を圧倒 稽古で16勝1敗「今一番強い」の声も

土俵際で朝乃山(後方下)を転がし、嬉しそうな表情を見せる荒磯親方(元横綱・稀勢の里)=撮影・中田匡峻
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 「大相撲初場所」(12日初日、両国国技館)

 荒磯親方(33)=元横綱稀勢の里=が5日、田子ノ浦部屋に出稽古に来た新関脇朝乃山(25)=高砂=と三番稽古(同じ相手と何番も取る)で16勝1敗と圧倒した。

 昨年初場所で引退して1年。ちょんまげのない、スポーツ刈りの親方が大関を狙うホープに立ちはだかった。

 代名詞の左おっつけが強烈だった。最初の一番、左差しから豪快なすくい投げ。続いて突き放してきた相手にも動じず、いなして送り出した。

 ケンカ四つながら、左を固め、おっつけて相手得意の右差しを徹底して封じた。左四つに組んでは何度も寄り切りや、突き落とし。動きも軽快で土俵際、相手の押しに回り込み突き落とした際には「ヒャハハ~」と“どや顔”で笑った。

 11連勝し、1敗後、さらに5連勝。「はあ、はあ」と肩で息をする相手が“スタミナ切れ”で終了。親方は「俺はまだ全然」と涼しい顔だった。

 一門も違う力士に親方が胸を出すなど異例。「力いっぱいやりました。求めてくるのは素晴らしいし、協力したい」と今年、大関に挑む若武者に体で伝えたいものがあった。

 朝乃山に徹底して右四つになるのを許さなかった。「右を差す力が強いから、みんな殺しにかかってくる。本場所のために、あえて厳しくいった。右が緩んでいたらそこをつけ込むのが上位力士。そういうところしか狙っていないから」と本気で厳しさを教えた。

 スケール感ある四つ相撲は19年ぶり日本出身横綱となった自身と重なるものがある。「もっと型にこだわっていけばいい。そうすると息が上がらない。型と馬力が彼の課題。そこを付ければ強い大関になる。その上も目指せる。今年は楽しみ。朝乃山の時代が来ると思う」と、最大級に褒めた。

 引退1年でも衰えるどころか、むしろ強くなった印象すら受ける。「うまさだけ。力は落ちている。本場所に行ったら電車道(で負ける)」と謙遜しながら「改めて相撲は楽しい」と、生きのいい若武者相手に完勝し爽快な笑みを浮かべた。

 見守った元小結で相撲解説者の舞の海秀平氏は「どっちの話ですか」と報道陣に逆質問。荒磯親方に対し、「今一番強い。(課題だった)腰高も直っている。朝乃山より腰が低い。今場所も出たら優勝でしょう。ぜひ出てほしい。膝も曲がって、左も使えていた。技術的にも上がっている。あしたの新聞は『最強親方』でいくんじゃないかな。(引退して)1年くらいしたら普通は怖くて相撲を取れない。バリバリの大関を狙う力士と相撲を取れている」とビックリ仰天だった。

 逆に朝乃山には「ケンカ四つだから差し手争いで負けている。もう少し工夫しないと。横綱でも(引退して)1年たっている相手に勝てないのは深刻に受け止めた方がいい。親方のところに通った方がいい。右四つを差させてくれない人と稽古をするのはすごくいい。内容の濃い稽古ができる」と“弟子入り”を勧めた。

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