「男子テニス・ＡＴＰツアーファイナル」（２０日、ロンドン）

　決勝が行われ、シングルスは世界ランキング１位のアンディ・マリー（英国）が同２位のノバク・ジョコビッチ（セルビア）を６－３、６－４で破り、初優勝した。第１セットは４－３で迎えた第８ゲームをブレークして先取すると、第２セットも相手サーブの第１、第５ゲームを奪い、その後の反撃をしのいで押し切った。１次リーグから全勝優勝したＡ・マリーは今大会で賞金２３９万１千ドル（約２億６５４０万円）を獲得した。

　極限の集中を解き、放心したようにラケットを手放して大歓声を浴びた。Ａ・マリーがライバルのジョコビッチを退け、初制覇。「一年を締めくくるのに、これ以上の結果はない」と喜んだ。

　７日に初めて上り詰めた世界ランキング１位の座。準優勝なら「大きな努力を重ねてたどり着いた。絶対に守りたい」と語る地位から転落するところだった。シーズン最終戦で世界１、２位が年間最終の１位を懸けて激突したのは初めて。テニス史に残る一戦で、底力を発揮した。

　準決勝までの４試合中、２試合が３時間超えの激闘。その疲れを見せず、正確なショットでラリー戦を制し、出だしから相手に一度もリードを許さなかった。「この勝利は精神面で大きな勢いを与えてくれる。１位で居続け、今後の数年をテニス人生で最高のものにしたい」と宣言した。

　ジョコビッチはストレートで敗れ、５連覇と史上最多タイの６度目の優勝を逃した。バックハンドのミスが目立ち、打ち合いで劣勢に回る展開に「相手が完全に上だった。自分はミスが多すぎた」とさばさばした表情で結果を受け入れた。来季は世界ランク１位復帰を狙うシーズンとなるが「今は考えられない。現時点ではアンディがその座にふさわしい」と同い年のライバルをたたえた。