柔道代表、初の女性監督誕生は持ち越し 「声かけたが固辞された」

 全日本柔道連盟(全柔連)は14日、都内で理事会を開き、20年東京五輪に向けた新強化体制を発表した。強化委員長には、日大監督の金野潤氏(49)が就任。女子監督は、退任する南條充寿監督(44)に代わって筑波大総監督の増地克之氏(45)が就任し、男子は井上康生監督(38)が続投する。

 4年後に向けて“名より実を取る”人選になった。兼任していた山下泰裕副会長(59)に代わる強化委員長に決まった金野氏は、五輪、世界選手権への出場経験はない。異例の抜てきとなった理由について、近石康宏専務理事は「金野氏は男女ともに指導実績がある。柔道関係者や指導を受けた者からも人望が厚い」と、リオ五輪男子100キロ超級の原沢久喜(日本中央競馬会)らを育てた手腕を挙げた。

 女子監督には、同じく世界大会での実績がない増地氏が抜てきされたが、近石専務理事は「女性の監督を選んだ方がいいんじゃないかという意見もあった」と“女性監督待望論”があったことを認めた。

 実際に、今回の人選の過程では女性指導者が候補に挙がっていたといい、同理事は「女性監督への拒否反応はない。事前段階で、(有力候補として)選ぼうとした人に声をかけたが固辞された」と舞台裏も明かした。その後、最終的に絞られた3人には増地氏のほかに2人の女性コーチの名前が入っていたというが、選考委員による多数決の結果、増地氏に決定した。

 2013年1月には、女子代表で男性指導者による暴力問題が発覚した。当時の男性監督は引責辞任し、後を引き継いだ南條監督は技術指導を所属先や女性のコーチに任せるなど組織改革に着手。同時に、事件発覚後の第三者委員会による再発防止への提言の一つには「女性監督の起用」も求められた。

 しかし、東京五輪に向けたこのタイミングでの女性監督の誕生はならなかった。金野氏は「一つ言えるのは、女性(指導者)の人材育成は使命。今後必ずそういう人材を育てないといけない」と、強化委員長の仕事として意欲を燃やしていた。

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