稀勢の里 横綱の壁越えれず「クソッ」

 「大相撲夏場所・13日目」(20日、両国国技館)

 大関稀勢の里は横綱白鵬との全勝対決に下手投げで敗れた。得意の左四つに持ち込んだものの、白鵬に力の差を見せつけられた。14勝以上の初優勝で綱とりの可能性があり、悲願へ望みをつなぐため、残り2日間で1敗もできない崖っぷちに追い込まれた。白鵬が14日目に横綱日馬富士に勝ち、稀勢の里が横綱鶴竜に敗れれば、自身の持つ史上最多記録を更新する2場所連続37度目の優勝が決まる。

 厚く高い壁を、またも越えることができなかった。稀勢の里は、先場所の10連勝、3年前の13連勝を止められた白鵬との大一番に屈した。支度部屋に引き上げ、テレビの映像を見ながら、「クソッ!!」と悔しさをにじませた。

 立ち合いで右からの張りにも動じず、得意の左四つに持ち込んだ。取られた右上手も切って前に出たが、あと一歩攻め切れなかった。執ように繰り出された下手投げで崩され、最後は下手投げで転がされた。

 敗因を聞かれると、「見ての通りです」と答えるだけだった。八角理事長(元横綱北勝海)は「下手を切る動作がほしかった。上手を取って寄るしかなかったからね」と分析した。

 勝負どころで結果を出せず、精神面の弱さを指摘されてきたが、今場所は改善。朝稽古でも「毎日のびのびやっています」と話すなど、落ち着いていた。自分の形に持ち込んだものの、またも結果を残せなかった。

 14勝以上の初優勝で綱とりの可能性があり、14日目の鶴竜戦、千秋楽の日馬富士戦は負けられなくなった。優勝争いでは白鵬に1差をつけられたが、優勝決定戦の可能性は残っている。審判部の友綱副部長(元関脇魁輝)は横綱昇進について「まずは、あと2つ勝って14勝することが大事」と話した。

 「1日1日、集中してやるだけ」と悲壮な決意で臨む稀勢の里。逆転の初優勝、そして3代目若乃花以来18年ぶりの日本人横綱誕生へ望みは捨てない。

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