羽生「臨機応変」首位発進 減点抑えた

 「フィギュアスケート全日本選手権」(26日、長野市ビッグハット)

 男子ショートプログラム(SP)が行われ、ソチ五輪金メダリストで、3連覇を狙う羽生結弦(20)=ANA=は終盤の連続ジャンプが乱れたものの、94・36点で首位発進を決めた。昨年2位で初優勝を狙う町田樹(24)=関大=は90・16点で2位。ジュニア王者の宇野昌磨(17)=中京大中京高=は85・53点で3位につけた。大会は世界選手権(来年3月・上海)代表最終選考会を兼ね、優勝者を含む男女各3人の代表は28日に発表される。

 同じ轍(てつ)を踏んでしまった悔しさが、王者の表情をゆがめた。演技を終えた羽生は悔しそうに天を仰ぎ、苦笑いを浮かべた。「またか」。冒頭の4回転トーループ、後半に入ってからのトリプルアクセルと完璧に決めながら、GPファイナルと同じく最後の3回転ルッツからの連続ジャンプが乱れた。貫録の首位発進にも「前回と同じミス。悔しい」と、頭をかいた。

 ただ、一方で恐るべき修正能力、判断力を見せつけた。練習から安定感を欠いていたルッツは、本番でも軸が大きく曲がってしまい、かろうじて着氷。連続ジャンプにつなげるのは無理かと思われた。しかし瞬時に「トリプルは無理。でも何とか加点を」と、両手を上げる2回転ジャンプを足し、減点を最小限に抑える離れ業を披露。「まあ臨機応変にできたかな。その辺は進歩」と笑った。

 選手生命すら危ぶまれた11月中国杯での衝突負傷から、わずか1カ月後のGPファイナルで復活を告げる連覇を達成。ただ、計5カ所に及んだ負傷がまだ完全に癒えたわけではない。ジャンプの着氷を支える右足の捻挫は回復途上で、まだテーピングが巻かれている。強行日程を戦い抜いてきた体はベスト体重から2~3キロ落ちた状態だ。そんな状況下でも他を圧倒する強さが今の羽生にはある。

 「はっきり言って、自信はついていると思う」。すでに世界選手権代表入りは確実。27日のフリーは試合では今年最後の演技となる。五輪王者に輝き、衝撃のアクシデントから奇跡の復活を遂げた劇的な1年を、氷上のヒーローは、最高にカッコ良く締めくくる。

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