坂爪、五輪切符 骨折乗り越えつかんだ
「スピードスケート・ソチ五輪ショートトラック代表選考会」(15日、大阪プールアイススケート場)
男女500メートルと同1000メートルが行われ、全競技が終了した。大会後にはソチ五輪の代表8人が発表され、右すね骨折からの復活を目指す坂爪亮介(23)=タカショー=が総合ランキングで2位を守りメンバー入り。高御堂雄三、坂下里士とともに五輪切符をつかんだ。女子は、今大会の6レースすべてを制した酒井裕唯(26)=日本再生推進機構=を筆頭に、伊藤亜由子、清水小百合、桜井美馬、菊池萌水が選ばれた。
悲運のエースが、夢切符をつかみ取った。大会終了後、代表入りを伝えられると「うれしさと、引き締まる気持ちです。しっかり練習を積んで臨まないといけないなという覚悟が、より強まった」と喜びをかみしめた。
今大会と併せて選考対象だった9月の全日本距離別選手権では、全6戦で4勝と圧勝。だがその後のW杯・上海大会で右すねを骨折。今大会は1500メートル2本目の7位が最高成績。「自分としては(結果を出して)自分で勝ち取るというつもりだった」と話すが、総合ランキングで代表入りを決めた。
壮絶なリハビリを経ての強行出場だった。骨折当初の診断は全治5カ月。今大会はもちろん、ソチ五輪出場すらも危ぶまれる重傷だった。負傷後、初めて氷上に立ったのは11月下旬。「リハビリでは自転車も全力でこげたけど、氷上では(痛みで)立っていることしかできない。がく然とした」
もちろん、今でも骨はつながっていない。そんな状況を乗り越えたからこそ、今大会の成績には全日本の柏原コーチも「想定以上だった」と評価し、坂爪の選出を不安視する声も上がらなかったという。
右足には「骨の中に芯となる棒と、別の折れたところにはプレートが入っている」という。早期回復に向けた治療はまだまだ続くが「それらが入ったまま行くんで、ソチの(金属探知機)ゲートとか大丈夫かな。心配です」と苦笑いする坂爪の表情は、どこまでも明るかった。
