徳島・小林 4番の期待に応える19歳
【徳島・小林義弘内野手】
小林義弘は千葉県の出身である。リーグ選抜の一員として関東に遠征し、フューチャーズ(イースタン・リーグ混成)と対戦した3連戦(7月1~3日、横須賀スタジアム)には両親、叔父、叔母ら家族、親せきが連れ立って応援に来てくれた。それも3日間、泊まりがけでの応援である。
その期待に応えた。6番・一塁手で先発出場した第2戦で右前適時打、右中間二塁打など3安打。第3戦でも中前打を放ち、7打数4安打1打点とアピールしてみせた。
「結果を残せて得たものもありました。でも、いい選手を見ると、やっぱり1球を逃してない」
徳島・島田直也監督は、開幕戦から前期終了までの40試合、この19歳ルーキーに4番を任せ続けた。3番に昨年の年間MVP・大谷真徳がおり、5番に巧打の主将・松嶋亮太がいる。4番に1本が出なくても周りがフォローできる態勢は整えていたが、それでもチームトップの6併殺と、チャンスをつぶしてしまう場面は少なくなかった。
「自分が4番でいいのかと思った時期があったんです。前期中盤ぐらいですかね。なんで打ってないのに4番にいるんだろうなと思ったんですけど、それを言ったときに少し怒られて……」
6歳上である大谷や捕手の小野知久らとよく行動をともにする。先輩2人との食事中、思わず吐いた弱気な発言にたしなめられた。
「島田さんの思いを分かってない。1年目で4番ってしんどいと思うけど、その意味を考えろ。この壁をどう破るかがお前の成長だぞ!『なんで自分が4番なのか』とか思った時点でお前の負けだから」
選手としてのみではなく、男としての生き方を教えてくれる先輩たちがそばにいる。
後期開幕戦となった対ソフトバンク戦(5日、オロナミンC球場)豪快な2号2ランが右翼フェンスのさらに向こう、場外へと消えて行った。