G菅野はボールゾーン使うひと工夫を
【関本四十四の「ひとにらみ」30】
セ・リーグの優勝争いは残り10試合前後になって、いよいよ“トーナメント”の様相となってきた。
巨人、22日から東京ドームで阪神との2連戦だ。21日の中日戦は田口の好投もあって快勝したが、19日・ヤクルト戦、20日・中日戦と連敗した。先発した大竹と高木勇が期待外れで、ベンチにとっても想定外の敗戦だったと思う。
今年の巨人は、「よくなった」と思うと、すぐに悪くなり、「なんだダメか」という繰り返しだったが、最後の最後まで同じだ。
でも、ここまで来たら「痛い」とか、「かゆい」なんて言っていられない。
誰だって、これだけの試合を消化したのだから、多少の故障や負傷箇所を抱えている。メンタル面の強さも問われてくる。
この2連戦、巨人の先発は菅野とマイコラスだろう。
そこで何度でも指摘するが、今年の菅野に関しては物足りない。確かに巨人打線の援護が少なかったのは、数字的にも裏付けされている。
だが、それを差し引いても、9勝10敗はない。最低でも5個の貯金は欲しいところだ。
今年の菅野、ストライクゾーンにボールを集め過ぎている。しかも、例えば左打者のケースでは外からのスライダーの球筋を見極められている。
菅野は球威で勝負するタイプではない。投球フォームを見てもわかるように、スーッと手投げみたいな感じで、自分の目の前のストライクゾーンに放ることができる。
こんなタイプはスライダーの使い方がうまいし、もちろん、四球も少ない。
でも、現役時代、川上哲治監督にこんなことを言われたのを思い出した。
「投手は120から~130球、ボール球を投げても完投できる可能性があるんだ」
対戦する打者がストライクゾーンに来たと思って振る。だが、振った場所が実際はボールゾーンだったら、いいわけだ。
斎藤投手コーチが20勝して5敗しなかったシーズンがある。この年のことを相手を務めた村田総合コーチに聞いたことがある。
「苦しくなったら真ん中の真っすぐを要求しました。それでなんとかなりました」
抜群の球威があればこその話だ。菅野は140キロ台の真っすぐはあっても、いまのところ現役時代の斎藤みたいな球威はない。
プロ1年目・13勝(6敗)、2年目・12勝(5敗)、そして今年は2ケタに届いていない。
これまで対戦してきたセ・リーグの打者たちも研究に研究を重ねてきている。
ストライクゾーンだけではなく、ボールゾーンをうまく使う。“ひと工夫”が必要だ。
22日の阪神戦、菅野には注目している。果たして2ケタ勝利を挙げることができるのか。それは残り10試合を切った巨人の最終局面を占う材料にもなる。
(関本四十四=デイリースポーツ評論家)