カジノで巨額賭けた選手代表から外れる
日本では巨人選手の野球賭博問題が鎮火する気配がないが、お隣の韓国でもばくち事件でプロ野球界が揺れている。だが、その規模は巨人とは比較にならない。10月16日、韓国のテレビ局がスクープとしてサムスン・ライオンズの主力3選手が香港マカオのカジノで約10億ウォン(約1億2000万円)の巨額を賭けていたと報じた。
報道では3年前のオフの出来事だということだが、額が大きく、場合によっては外国為替法違反の疑いもあり、検察当局も内偵に入っていると報じたのだ。ここまでくれば単なるゴシップではない。
10月20日、サムスンは球団社長が謝罪会見とともに、該当する選手を26日から開始となった韓国シリーズのエントリーから外したと発表した。該当選手はカジノでの賭博そのものを否定していることもあり、公式に名前は明らかにされていない。だがネットでは実名が飛び交い、事実上、特定されていた。
球団としては難しい選択だった。疑いだけの段階で名簿から外せば、罪を認めたことになりかねない。とはいえシリーズに出場すれば、さらに混乱を招く。
そして事態をさらに複雑化させたのは、この選手たちがプレミア12にもエントリーされていたことだった。検察の内偵捜査を受けている選手が代表となること、海外の大会に出場することは国内のシリーズ辞退よりやっかいな話だ。出国が許されるのかどうかという問題もあった。
結局、KBO(韓国野球委員会)は検討の末、25日に代替選手を発表し、この3選手を外した。外れたのは尹盛桓(ユン・ソンファン)、安志晩(アン・ジマン)、林昌勇(イム・チャンヨン)の3投手。そして新たに加えられたのは張元準(チャン・ウォンジュン=斗山)、沈昌珉(シム・チャンミン=サムスン)、林昶暋(イム・チャンミン=NC)の3投手だ。
韓国代表としてみれば、この3投手の穴は非常に大きい。尹盛桓は今季、17勝8敗でチームの勝ち頭でリーグでも3位の好成績。代表では「右投手の層が薄い」という指摘がある中、先発の軸になってほしい右腕だった。
安志晩は韓国を代表するセットアッパー。今季も37ホールドはリーグトップで、4年連続50試合以上登板と、スタミナも実績も申し分ない投手だった。林昌勇は言わずと知れた韓国の守護神。今季もサムスンでの33セーブはリーグトップだった。つまりサムスンの投手陣の核となる3投手がそろって代表入りしていたわけだが、その3投手がそのまま抜けてしまった形となった。これは戦力的にはもちろん、チームの士気を考慮しても痛いことだ。
また中央日報ではこの他に「海外でプレーする(韓国人)選手も含まれていた」とも報じている。ただ別のメディアでは韓国シリーズ後に再捜査の対象となっているのは、前述の3投手のうち、2人とも報じられている。





