広島・前川プロ初スタメンで大暴れ 先制打&初マルチ 新井監督「バットの扱い方がうまい」 延長制し4位再浮上
「中日2-3広島」(8日、バンテリンドーム)
広島が延長戦を制して4位に再浮上した。延長十一回、1死三塁の好機をつくると、相手の暴投の間に勝ち越した。ラッキーな形で1点を奪った中、試合の主導権を引き寄せたのは前川誠太内野手(22)の一打。二回の好機で先制の2点適時二塁打を放ち、プロ初スタメンでマルチ安打と躍動した。売り出し中の若武者がチームのために尽力していく。
歓声と悲鳴が交錯する中、三走の羽月は悠々とホームベースを踏んだ。喉から手が出るほどほしかった1点が、思わぬ形で舞い込んでカード初戦を勝利。新井監督は「全員での粘り勝ちだと思います」とナインの奮闘を称賛した。
同点の延長十一回、先頭の坂倉が左中間二塁打を放ち、その後1死三塁の好機をつくった。続く二俣の打席でマルテの初球が暴投となり、羽月がホームイン。ベンチが盛り上がる中、代走の切り札は軽快な足取りで仲間とハイタッチを交わした。ラッキーな形で勝利を収めた一戦だが、そこに至るまでには若武者の一打があった。
前川がプロ初スタメンに抜てきされると、二回1死二、三塁で左中間へ2点適時二塁打。初対戦となったマラーの149キロ速球を完璧に捉え、左中間を真っ二つに破った。「つないでもらったし、自分が(走者を)かえすぐらいの勢いでいきました」と笑顔で汗を拭った。
7日・DeNA戦(横浜)に代打出場すると、プロ初安打となる適時二塁打をマークした。「きのう1本出て自分でもホッとしたんですけど、切り替えて今日もいこうと思った。その結果が(適時打に)つながったんじゃないかなと思います」。四回2死では左前に運んでプロ初のマルチ安打。名古屋のカープファンに、あいさつ代わりの快音を響かせた。
この日は母校・敦賀気比が夏の甲子園初戦に登場。白星はならなかったが、自身と同じ時間帯に後輩たちもプレーしていた。大会前にはボールを差し入れ、支配下選手契約を勝ち取った7月末には同校の東哲平監督に報告。「『おめでとう、ここからがスタートやで』と言ってもらいました」と激励に背筋が伸びた。
強豪校での3年間はプロで戦う上での貴重な礎になっているという。「野球のことも私生活のことも学ばせてもらった。気持ちの面でも培ったものはたくさんあるので、そこは今でも大事にしています」と明かした。
チームの4位再浮上に貢献した活躍に新井監督も「昨日に引き続き、いいバッティングだった。バットの扱い方がうまいので、技術的に面白いものを持っている」と評価した。「泥臭く必死にチームに貢献できるように頑張りたい」と前川。ひたむきな姿勢で、カープに新風を吹かせていく。





