広島・新井監督「逆に楽しみ」 九回栗林まさか、痛恨サヨナラ負けで崖っぷちも 「どういう姿でプレーをしてくれるのか」

 9回、外野の守備位置を指示する新井監督(撮影・田中太一)
 9回、沸き上がる阪神ナインを背に引き揚げる栗林
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 「JERA CSセ・ファイナルS・第2戦、阪神タイガース2-1広島東洋カープ」(19日、甲子園球場)

 崖っぷちに追い込まれた。「2023 JERA クライマックスシリーズ セ」のファイナルS第2戦が行われ、広島は同点の九回に栗林良吏投手(27)がサヨナラ打を浴びて連敗。アドバンテージを含めて0勝3敗となり、日本シリーズ進出には4連勝しかない状況となったが、新井貴浩監督(46)「逆に楽しみ」と前向き。奇跡を信じて戦うだけだ。

 敗戦を告げる打球が一、二塁間を抜けると、カープナインは視線を落としながら三塁ベンチへ引き揚げた。リーグ王者の底力に屈し、球団史上初のポストシーズンサヨナラ負け。新井監督は「九回は栗林で、そういう時もある。ウチはもう納得です」と守護神をかばった。

 栗林は同点の九回からマウンドへ。1死から大山に右中間への二塁打を浴びた。続く佐藤輝は空振り三振に斬ったが、申告敬遠でノイジーを歩かせた後、坂本にストレートの四球。流れを引き戻せないまま、木浪に右前適時打を許して試合を決められた。

 守護神が悔やんだのは4番に浴びた長打だ。カウント1-1から高めに変化球を捉えられた。「大山さんの長打が一番もったいないと思う。坂本さんの四球ではなく、木浪さんをアウトに取れれば別に何ともなかった。自分が投げたいところに投げられなかったところ」と悔しさをかみ殺した。

 痛いミスもあった。1点リードの二回1死一塁でノイジーが右前打。右打者のスライス気味の打球を処理しようとした末包が後逸し、適時失策で試合を振り出しに戻された。指揮官は「何とか(一塁)ランナーを三塁に行かせたくないというスエ(末包)の気持ちは買います」と本人の気持ちを思いやった。

 攻撃陣も二回以降は伊藤将の前に決定打を欠いた。六回2死一、二塁は西川の捉えた打球が遊直。八回は2死からの連打で一、二塁としたが代打・松山が空振り三振に倒れた。「きょうはいい当たりをしても(野手の)正面にいったというのがすごく多かった。これは勝負の運、そういうところだと思う」。新井監督は敗戦を潔く受け止めた。

 CS突破には4連勝しかなくなった。後がない苦境にも「楽しみじゃないですか。逆にどういう姿でプレーをしてくれるのか。もう負けたら終わりなので逆に楽しみです」と締めくくった。逆境をはね返し、土俵際からの粘りを示す。

 ◆鬼門…甲子園“9連敗” 23年の広島はレギュラーシーズンだった5月20日から数えて、この日で1分けを挟んで甲子園9連敗となってしまった。CSでも14年ファーストSから1分けを挟み3連敗となった。

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