カープ伝統の走る野球はどこへ 球団最低記録の盗塁数 4年連続Bクラスの原因を検証
4年連続Bクラスに終わったカープ。開幕ダッシュで期待感は高まったが、終わってみれば5位。就任3年目の佐々岡真司監督(55)は低迷の責任を取って辞任した。失速の原因は何だったのか?来季、浮上に必要なものは?デイリースポーツ取材班と評論家陣が検証する第3回。
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シーズン前、佐々岡監督は「カープ野球というのは足を使うのは当然」と誇らしげに言った。
鈴木誠也がメジャー移籍。得点力のダウンをどう補うかは最大の課題だった。一つの方法として走力を挙げた。
終わってみれば今季のチーム盗塁数はわずか26。盗塁王のタイトルを獲得した阪神・近本の30にも及ばず、プロ野球過去最少の04年・巨人の25は辛うじて超えたが、球団最低記録だった1952年、66年の44を下回った。しかも、失敗は成功より多い29。企図数55はリーグダントツの最下位に終わった。
「走れる選手の中でも体のこともあった。走れるメンバーがいないといえばいない。足を使う野球は目指しているところではありますけど、難しい部分もある。その分、つないでつないでというのを意識してやっていかないといけない」
指揮官はシーズン途中、こう話した。確かに1番を務めた野間は下半身のコンディショニングに不安があった。とはいえ、企図数の少なさは異常に映った。チーム打率・257はリーグトップ。盗塁やヒットエンドランなど足を使った多彩な攻めができれば、得点が増えるだけでなく、相手へのプレッシャーも違う。大きな武器を失っていた。
実は2軍もチーム盗塁数47個、企図数68もリーグ最少。伝統の“走る野球”は見る影もなくなっていた。
赤ヘル旋風を巻き起こした1975年以来、足を使った野球はカープの伝統となった。この状況に球団は危機感を募らせた。ある球団首脳は「ファームは失敗してもいいところ。走ってみなければ盗塁の技術も上がらない」と企図数の増加を望んだ。
一方で捕手の盗塁阻止率は低調に終わった。チーム盗塁阻止率は・204。一般的に3割を超えれば合格と言われるが、こちらも大きく下回った。特に正捕手・会沢は・180。前年の・267から大きく落とした。
走られるかもしれない。そのプレッシャーは投手の投球に大きな影響を与える。制球ミスを誘う要因にもなる。来季に向けて、捕手陣のスローイングの精度、投手のけん制、クイックの技術向上は大きな課題となる。
走る野球の復活、走られない守りへの再生。まだ見ぬ新監督に大きな宿題が残された。(デイリースポーツ取材班)




