新井貴浩氏が考察 カープ生き残りへの「ヒント」鯉戦士は大胆局面に備えたい

 3試合で1点しか奪えずソフトバンクに3連敗を喫した広島ナイン
 今年も「鬼門」となった交流戦だが、佐々岡監督にとっては反攻へのヒントもあったのでは
2枚

 カープはここ数年「鬼門」と言われた交流戦で、今季も5勝13敗と苦しんだ。結果、始まる前の「貯金6」が「借金2」でリーグ戦再開を待つことに。広島OBでデイリースポーツ評論家の新井貴浩氏(45)が、交流戦を振り返り、そこで見えた課題をどうやって今後の上位生き残りにつなげていくか、考察を展開する。

  ◇  ◇

 今年の交流戦、全体を振り返ればチームのかみ合わせが良くない、それに伴い流れが良くない、という試合が最後まで続いてしまったと言える。しかし振り返れば、6つの貯金を持って、先発陣も計算でき、つながる打線で得点力も期待できるという状況で臨んだ交流戦だった。

 大きかったのは「入り」の序盤2カード、対ロッテ(1勝2敗)と対ソフトバンク(0勝3敗)だ。昨年まで、カープは対戦成績でロッテには勝率・407(24勝35敗3分け)、ソフトバンクには同・321(18勝38敗6分け)と、非常に苦しんできた。

 「今年は違う。よしやるぞ」と臨んだ2カードで1勝5敗、これまでも苦戦してきた相手に出はなをくじかれる形となり、「今年もだめか」という雰囲気が勝ってしまった。このつまずきが、残り4カードに大きく影響し、立て直せなかった。

 この“立て直せなかった”ところが大きい。あえて結果論で語らせてもらうなら、大瀬良、森下らが崩れた上、3戦で1点しか取れず大敗したソフトバンク戦。ここで、自軍の選手たちすら「えっ!」と思うような、強引な選手起用や采配を、ガンガン放り込んでいっても良かったと感じる。

 ただしこれは、リスクを伴う。動いて負ければベンチに向けた批判も覚悟しなければならない。しかも、「結果論」と先述したとおり、同カードはいずれも五回までに大差をつけられていた。むしろ「動きようがない」と感じる方が大勢を占めるだろう。ここを「動くべき局面」と判断したとして、それが正解の保証もない。

 それでも、ちょっとした傷口を、応急処置で済ませるのではなく、あえてリスク覚悟の“大手術”を施すことができていれば、3試合での1得点が、3点、5点になっていた可能性は残されていた。その上で、結果的に負けたとしても選手が「これまでとは違うぞ」と思えたならば、士気を落とさず次戦に向かう、つまり敗戦を引きずらずに“立て直す”ことができたように思う。そんな「ヒント」をもらえた交流戦ではなかったか。

 さて、苦しんだ交流戦を終え、リーグ戦が再開する。相手は非常に勢いのあるヤクルト、そして阪神と続く。まだ借金2の3位にいるチームとしては、今シーズン最初に訪れる『乗り越えるべき大きな山』だ。

 ずるずる落ちるか、それとも猛反発を見せてくれるのか。もちろん選手にも奮起が求められる。その上で、重要な局面を察知し、効果てきめんな“ショック療法”を施すベンチワークがマッチしたとき、カープは急速な上昇曲線を描く未来が見える。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

広島カープ最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス