広島・森下は2年目のジンクスを乗り越えられるのか。北別府氏から条件付きの合格印

 昨年、入団1年目で2桁となる10勝を記録し、新人王に輝いた広島・森下暢仁投手(23)に2年目のジンクスという言葉は当てはまるのか。デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は“疲労の除去”がカギを握るとみている。

   ◇  ◇

 1年目だった去年の森下の投球を見ると、今日は少し調子が悪いかなと感じる日がほとんどなかった。ストレートは平均して走っていたし、たまにシュート回転して中に入ることはあっても、粘りで勝ちにつなげていく。いいときと悪いときの差が小さかったね。

 (昨年の成績は登板した18試合すべてが先発で10勝3敗、防御率1・91、投球回数は122回3分の2。完投数は2。堂々の内容でセ・リーグの新人王を獲得した)

 相手打者からすると、ルーキーだから当然、対戦データがない。ストレートの良さや球種など、ある程度の資料はあるのだろうが、実際に対戦しないと分からないこともある。その中で、チームの中心的存在としてゲームに追われながらも結果を出したのは立派だった。

 ただ、2年目に入り、ボールが走らず、キレも悪いというゲームが出てくるかもしれない。去年はアマとは環境のまったく違うプロの世界で目いっぱいやったわけだからね。体が突っ込みすぎたり、同じような感覚で投げているつもりでも、下半身の動きに対し、手が遅れてボールがシュート回転して甘く入ったり。シュート回転で外から中へ入るのは弱い球なんですよ。ゴルフで言うフェード系のボールだね。

 こういうことがなぜ起きるのか。それは疲労の蓄積です。活躍した年のシーズンオフはいろいろ仕事が入ってきて忙しく、ゆっくりと身体の手入れをする時間も少なくなる。まだプロに入ったばかりでその辺りはスタッフがきちんと管理してくれただろうが、1年間の疲れをしっかり取り除いて新たなシーズンに臨めば、彼なら去年のような、あるいはそれ以上の成績を残すことはできるはず。

 森下のいいところは抜群のコントロールでしょう。細かいところへ投げ分けるというより、カウントが不利になっても、しっかり勝負できている。そして読まれていても空振りや見逃しを取れるストレート。160キロ近い球を投げてもファウルで粘られ、結局四球を出す投手が多い中、彼のボールにはキレと伸びがあるから打ち取ることができる。そこが長所だね。

 とはいえ同じ投げ方なのに、微妙に上半身と下半身のタイミングのズレからストレートが走らなくなったり、シュート回転することがある。今後、そういう傾向が見られるときは、遠投を取り入れていくのも一つの技として身につけてもらいたい。疲労の蓄積からフォームが乱れ、バランスも崩しているのに無理をした結果、故障を発生させることがよくある。体の軸を作るという、その確認作業を怠らないこと。自主トレからしっかりチェックし、トレーナーとも相談しながらキャンプに入っていくことだね。

 今年、特に私が望みたいのは完投数を増やすこと。昨年は完投目前の九回途中で交代させられたことがあったが、できる限りそれを目指してほしい。そのためには省エネ投法が必要になるね。タテのカーブなど緩急を使いながら。

 (エースの大瀬良が右ひじの手術明けで、万全とは言えないだけに開幕投手の可能性も見えてくる)

 その話はまだ早いが、彼は初登板のDeNA戦で見せたように、平常心を乱さず投げることができる投手。キャンプ、オープン戦の内容次第だけど、その可能性は十分あると思う。キャンプから見たくて堪らない選手が出てきたこと、それだけでも嬉しい事だよね。

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