誠也「怖いくらい」 WBCモード全開 3打数3安打!シート打撃で快音
「広島春季キャンプ」(11日、日南)
広島の鈴木誠也外野手(22)が11日、シート打撃で左中間席へ2点本塁打を放った。オスカルの甘くなった直球を振り抜いた一打。本塁打を含め、3打数3安打2四球と大暴れ。3月開催のWBC、シーズン開幕へ向けて、仕上がりは順調そのものだ。
満員のスタンドから大きな歓声が上がった。白球が外野フェンスを越えて左中間席で弾むと、拍手喝采に変わる。鈴木が描いた力強い放物線。「思い切って自分のスイングをしよう」と言い聞かせた打席で、最高の結果を残してみせた。
「追い込まれていたので、シーズンと同じように食らいついていった。練習でも抑えられたらイライラする。この時期は(例年)あまり状態が良くないけど良い感じ。怖いくらいです」
オスカルと対峙(たいじ)した3打席目。左腕が外角を狙った球がわずかに内側に入る。積極的にスイングし、遠ざかる打球の軌道を確認した。
2打席目は一岡から左前打を放ち、5打席目にはドラフト3位・床田(中部学院大)の直球を中前に運んだ。本塁打を含む3安打2四球。緒方監督は「一発で仕留めるのは、さすが」とうなった。
バットを振り込む今春。打撃クローブはほぼ毎日、グリップエンドに掛ける左手の部分が破れる。現在、使っているのは厚さ0・2ミリの物。多くの選手が使っている0・5ミリの物より0・3ミリも薄い。キャンプ前にソフトバンク・内川と行った合同自主トレでは、素手で打撃練習を行った。こだわるのは素手に近い感覚だ。
「皮が厚いとバットを強く握ったりして力みにつながる。素手だと感覚が出やすい。極限まで薄くしたいんです」。メーカーも協力し、破れたグローブを全て持ち帰って破れないための研究開発を続けている。
3月にはWBCが控えるが、焦りはない。今後、実戦を重ねることで試合勘は取り戻せると胸を張る。「数多く対戦すれば目も慣れてくる。ここまでは捉える確率が上がっているし、良いんじゃないかと思います。まずはケガをしないようにしたい」。一歩一歩、確実に前に進む。22歳の若武者は、大きな成長曲線を描いている。





