広島・黒田、日本一が花道 25年ぶりリーグVで引退決断

 会見で心境を語る黒田(撮影・北村雅宏)
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 広島・黒田博樹投手(41)が18日、広島市内のホテルで記者会見を開き、今季限りでの現役引退を表明した。午後5時の練習開始前に選手らに報告し、決断理由にリーグ優勝と日本シリーズ進出を挙げた。32年ぶりの日本一を目指す日本シリーズでは、マツダスタジアムで行われる23日の第2戦先発が濃厚。有終Vで花道を飾る。

 戦い、闘った男の表情は、晴れやかだった。20年に及んだ現役生活。日本で124勝、メジャーで79勝。積み上げた勝ち星以上に、ただ一度の勲章を得て決断した。「悔いはないです」。黒田は迷いない言葉に、プロとしての誇りを込めた。

 「理由はたくさんあります。すべては難しいんですが、一つはリーグ優勝して日本シリーズに進出できた。それは一つ、大きな要因だったと思いますね」

 決断に至った経緯を問われた黒田は、25年ぶりの優勝を最大の理由に挙げた。2、3年前から思いを抱えながら、優勝決定後の9月中旬に「本格的に考えだした」と、鈴木球団本部長や新井らに進退を相談。新井からは慰留されたが、自分の意思を通した。前日17日に正式に了承を得て、この日の発表となった。

 日本シリーズを目前に控えた中での発表。「最後の登板」と知った上で共に戦った仲間、ファンに見てもらいたいという強い思いもあった。「次に自分が投げる試合が、最後になるかもしれない。応援してもらったたくさんの人に、先に伝えないといけない」。この日の練習開始前に全選手、裏方スタッフらを集めて、グラウンドで思いを明かした。

 「素晴らしいチームで戦わせてもらい、素晴らしい夢を見させてもらった。最後は笑顔で優勝して、ビールかけができたら最高。ありがとうございました」

 体は既に限界を超えていた。今季は1年を通じて右肩、右足首の痛みを抱えての登板だった。7年連続の2桁勝利を挙げたが、引き際を悟った。「エース」として戦った20年。今季の完投、完封は4月2日の巨人戦のみ。首、右肩痛で抹消となった後は7回が最長だった。

 「先発完投。9回を投げられない体になった時、他の選手に示し、見せられることのできない歯がゆさがあった」。メジャーの第一線で戦っても、その思いが消えることはなかった。エースの意地と矜持(きょうじ)。「引き際を間違えないために、一生懸命やってきた。こういう引き際を選んだのは、よくできたかな」と笑った。

 「最後の1球」を投げるために広島に戻った。マツダで行われる23日の日本シリーズ第2戦での先発が濃厚。展開次第では再び地元に戻る29日からの第6、7戦登板も予想される。「常に最後のつもりで投げてきた。ただ、それが本当の現実になる。どういう心境になるのか想像ができない」。奇跡の広島復帰から紡いだ25年ぶりのリーグ優勝への軌跡。最後の1球もチームのために投げる。ついに訪れる最終章。伝説は32年ぶりの日本一で完結する。

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