野村9勝目でカープ22年ぶり10連勝

 「広島3-2ヤクルト」(28日、三次きんさいスタジアム)

 カープの強さは本物だ。広島の野村祐輔投手(27)がハーラーダービー単独トップを守る9勝目を手にした。3連勝中と勢いに乗っていたヤクルトを相手に7回4安打2失点。要所を締める粘り強さを発揮した。チームも94年以来、22年ぶりの10連勝。貯金は今季最多を更新する「15」とし、2位・巨人とのゲーム差を「9」に広げた。

 澄んだ三次の夜空に野村が雄たけびを上げた。グラブを何度もたたき右拳を握る。勝敗の行方を左右する場面で、狙い通りの併殺打。「よし!」と思ったと同時に、心の底からわき上がる感情を抑えることができなかった。

 「すごく大きかったと思う。二遊間がすごくいいプレーをしてくれた。ありがたかったですね」。年に一度の県北での戦い。球場を真っ赤に染めた鯉党の声援が力になった。応えたかった。とびきりのガッツポーズだ。

 1-1の同点とした直後の四回だ。先頭への四球から1死一、三塁のピンチを背負った。打席には二回に先制ソロを浴びた雄平。「変化球を打たれたので真っすぐで押した」。3球連続の直球で追い込むと最後も強気の姿勢を崩さず内角へ。「今年は一番、良くなった球種」という136キロの直球で遊ゴロ併殺打に打ち取った。

 味方打線が直後に4連打で2得点し、勝ち越しに成功した。右腕の粘り強さが攻撃陣に勇気と活力を与えたと言ってもいい。畝投手コーチは「ピンチで内角に投げ込めるのが強み」と目を細めた。

 試合で使うグラブの形は、約10年前の広陵時代と変わっていない。ただ一つ、こだわりがあるのがスパイクのインソールだ。「グラウンドの土をしっかりと掴める感覚の物にしている」。毎年オフに足形を取り、自分の足裏に最適な物を用意。ランニングシューズにもそれを使う徹底ぶりだ。初めて上がった三次のマウンドでも、軸足で真っすぐと立つことで持てる力を最大限、発揮した。

 チームを22年ぶり10連勝へと導き、ハーラートップを守る9勝目。6月だけで4勝をマークし、月間防御率も1・44と安定感が光る。月間MVPの獲得も視野に入るが「(成績は)終わってからのことなので、考えません。一戦、一戦を本当に、しっかりと戦っていくだけ」と先を見据えた。自信を持って広げた羽で、野村がチームに新たな上昇気流をもたらした。ただひたすらに、真っすぐに-。全力で駆け抜けた先に、大輪の花は待っている。

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