新井代打逆転満弾!どや顔全開首位じゃ

 「オープン戦、ソフトバンク3-9広島」(19日、ヤフオクドーム)

 広島の新井貴浩内野手(39)が七回、代打で逆転満塁本塁打を放った。昨季王者相手の決勝弾。最近出場4試合で3本塁打と、開幕に向けて好状態を維持する。残り29本の2000安打に加え、節目の300本塁打まで13本。1シーズンで同時達成なら史上初で、通算26人目(日米通算も含め)の偉業を見据えている。またチームは8勝4敗2分けで、オープン戦首位タイに浮上した。

 打った瞬間、走りだすのをやめた。高く高く放物線を描いた白球は左翼スタンド中段まで到達。着地点を確認する前に新井は、バットを放り投げて歩き出した。オープン戦3号は起死回生の逆転満塁弾。シーズンに弾みを付ける特大アーチだ。

 「満塁だったので、一振りで決められたのは、よかったかなと思います。今は打席で球の見え方がいい」

 少しの高揚感と、充実感で振り返ったのは、七回の打席だった。3点ビハインドで無死満塁。野間の代打で登場した。森福の1-1から3球目。116キロ真ん中低めのスライダーを狙った。「角度がついて高い飛球になる時はいい状態」と、自画自賛の一打は大きく弧を描いた。

 推定120メートル特大弾。最近出場4試合で、3本塁打と好調が続く。「もう一度、長打を求めていく」と誓うプロ18年目シーズン。2005年に本塁打王に輝いた男が、見つめ直したのはフルスイングの重要性だ。「今までで一番追い込んだ」と言うオフからキャンプを通じ、徹底的に下半身を強化。バットスイングに重きを置いた。

 シーズンでの打順は6、7番が予想され、長打を求められる役割を担う。緒方監督が「シーズンを見据えた」と説明した一戦は、松山の起用でベンチスタート。相手投手との兼ね合いで代打出場も想定される。勝負どころで魅せたベテランの“一発回答”。指揮官も「さすがだ。シーズンでも頼むよ」と絶賛した。

 残り29本の2000安打に加え、300本塁打まで13本。1シーズンで同時達成なら史上初。そんな個人記録に興味はないが、新井の一発は9得点を導いたように、チームの雰囲気を変える魅力を併せ持つ。プロで生き抜いた17年の経験、技術はチームに不可欠だ。

 開幕まであと5日。「まだオープン戦」と気を引き締める。求めるのは個人記録ではない。「節目の記録もあるけど、それよりも優勝するために。打てるだけ打ちたい」。フルスイングが活路を開く。頂点へ。ひたむきに、がむしゃらに。

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