新井気迫の本盗!元同僚のスキ見逃さず

 「阪神1-5広島」(2日、甲子園)

 38歳、激走じゃ!!広島の新井貴浩内野手が、15年ぶりの本盗で同点のホームを踏んだ。ベテランの気迫はナインを鼓舞し、五回の攻撃で一挙4点を奪い、鮮やかな逆転勝利。新井は打撃でも古巣相手に2安打2得点の活躍を見せた。首位阪神に3・5差まで再接近。ここから連勝で上位争いに食い込む。

 スライディング後、中腰の状態で、新井は両手を大きく広げた。「セーフッ!!」。静まり返った聖地は次の瞬間、驚きのため息が漏れた。一瞬のスキを突く好走塁で奪った1点。38歳のベテランが本盗を決めた。激走がチームの勝利を呼んだ。

 ハイライトは1点を追う四回。先頭の新井は左前打で出塁した。その後2死一、三塁となり、田中の打席。カウント2-2から、一走の鈴木誠が飛び出したのを見て、岩田が一塁へけん制球を投げたが、送球が二塁側へ逸れた。三走新井はけん制の瞬間、スタートを切り、逸れたのを見て一気に加速。梅野のタッチをかいくぐり、左手でベースを叩いた。

 「作戦なので詳しくは言えないけど2アウトだったし、2ストライク。何かあったら思い切って(本塁へ)勇気を持っていこうと」

 今季3つ目の盗塁で、同点のホームを踏んだ。一塁手としての“勘”もさえた。「投げにくいのも分かっていた」と、けん制球が左に逸れた場合、反対方向の本塁への送球が難しいのは、守備でも経験済み。「目を切っていなかった」と、左投手であることも考えた上で、想定していたプレーだった。

 「思い切ったスタートをしてくれた。あそこで1点入って流れが変わった」と緒方監督。新井の激走に鼓舞されたナインは続く五回に4点を奪って応えた。新井の本盗は2000年9月13日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、実に15年ぶり2度目。「覚えてないな」と笑いながら、38歳の体で「まだ、まだ走れますね」と胸を張った。

 「スキがあったら行こうと思ったので、得点になってよかった。勇気を持って前へ、前へ行くだけでした」

 五回には遊撃内野安打で出場7試合ぶりにマルチ安打。守備でも四回、一、二塁線の鋭い打球を、倒れ込みながら好捕した。

 首位阪神に再び3・5差に迫った。「調子が良い悪いで試合する時期じゃない。またあしたも頑張ります!!」と新井。残り28試合。1軍野手最年長のベテランが打って、守って、走り続ける。前へ、そして前へ。

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