エルド恐怖の6番!完成CSオーダー

 「練習試合、広島9-2JFE西日本」(10日、マツダ)

 広島は10日、社会人・JFE西日本と練習試合を行った。6番・左翼でスタメン出場したブラッド・エルドレッド外野手(33)が2本塁打を放つなど9得点。12日から阪神と戦うCSファーストS前、最後の実戦を白星で締めた。大一番を前に完成した新鯉打線。勢いに乗り、一気に虎狩りだ!また、チームは試合後、神戸へ移動した。

 マツダスタジアムの空に特大のアーチがかかった。快音を残しバックスクリーン方向へ伸びた打球は、あっという間にフェンスを越えた。野村監督が阪神とのCSファーストSを見据え組み替えた打順。6番・左翼で起用されたエルドレッドが2本塁打を放ち、指揮官の期待に一発回答だ。

 0‐0の二回1死。右腕の陶山からバックスクリーンへ先制ソロ。六回無死にも同じく陶山からバックスクリーン左へ放り込んだ。「2本とも感触は良かった」。先制点、そして中押し点となる一打に目尻を下げた。

 12日のCSファーストS初戦を前に、最後の実戦となったこの試合。指揮官が組んだスタメンの特徴は、エルドレッドを6番で起用したことだった。今季、E砲は66試合のうち62試合で4番起用された。しかし、対阪神の成績は打率・170で打点は2。本塁打もゼロと著しくない。

 それでも指揮官の心に、背番号55を外すという選択肢はなかった。「短期決戦はどうなるかわからない。3連続三振しても、相手は一発があると思うと嫌だと思う」。長打力の魅力は代え難い‐。4番から打順を下げ、プレッシャーが少ない打順で起用することを決めた。対戦したJFE西日本の村上文敏監督(50)はこの打順に納得顔。「あそこにいるとやっぱり怖い」と舌を巻いた。

 9月は7本塁打。快進撃を支えた。阪神戦を前に「タイガースはいい投手がそろっている。でも彼らを打ち崩すのが僕の仕事だ」。打順にこだわりをみせず、勝利に貢献することを誓った。

 初戦の先発は、右腕メッセンジャーと藤浪、左腕能見の3投手の中からが有力だ。野村監督は「誰が来てもいいように。これが最終決定ではない」と前置きしながら、「ウチのベストのメンバー。(エルドレッドは)いいイメージでいける」と自信をのぞかせた。

 3位からの“下克上”を狙う野村鯉。最後に手に入れた日本一への挑戦権は、決して無駄にはしない。

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