菊地原が有終K斬り 21年目涙の引退登板
「広島7-2阪神」(2日、マツダ)
最後のマツダスタジアム。マウンドの広島・菊地原は大歓声に目頭を熱くした。7‐2の八回2死。引退登板で迎えるは元同僚の新井。2球目、この日最速の141キロの直球で追い込むと、4球目、こん身の139キロを外角いっぱいにズバッ。球審の手が上がり、見逃し三振。プロ21年、474試合目の登板で、有終の美を飾った。
「最後は新井で。迷惑かけたかな。いっぱいいっぱいで足がつりかけた。無事終わって良かった。登板前は大丈夫かなと思ったけど、球場を見渡し最後かなと思ったら(気持ちを)我慢できなかった」。涙の花道を照れくさそうに振り返った。
スタンドには神奈川から両親が駆けつけ、夫人と3人の子供が見守っていた。特に野球を始めた小学3年の長男・駿くんに、父の最後の勇姿を見せられたのはうれしかった。
登板後、ベンチに戻るとナインは総出でお出迎え。試合後は自然とマウンド付近で胴上げが始まり、ナインの手で6度、宙を舞った。「感動しました。本当に僕ごときの人間に大歓声をいただいて、恥ずかしいというか気持ちよかった」。晴れやかな表情を見せた。
01年のシーズン78試合登板は球団最多記録。オリックスに移籍し再び広島に復帰。優しい人柄でみんなに愛された左腕。「広島に戻ってからはケガばかり。カープには貢献できなかった」というのが唯一の悔い。球団はコーチ就任を打診する方針で、今後は“第二の鉄腕”育成が期待される。




