楽天・太田 発言波紋の早川と熱い抱擁「素直にうれしい」全てプラスに「いいきっかけになった」
「楽天12-1ロッテ」(3日、楽天モバイルパーク)
最後のアウトを取ると、太田はマウンドに駆け寄り、早川と熱い抱擁を交わした。捕手として、試練を乗り越えてつかんだ勝利に「素直にうれしい気持ちが多い。いい形になって本当によかった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
事件は先月だった。早川と組んだ、5日のソフトバンク戦(楽天モバイルパーク)、19日の西武戦(ベルーナドーム)で左腕がいずれも5失点と打ち込まれた。その際に早川から「太田さんの意図をうまくくみ取れなかった。自分は要求された球を投げた」などと捕手批判ともとれる発言があった。
報道等で発言を確認した太田は「いろいろな人から言葉をかけてもらいましたけど、早川だけが悪いとかそういうのは全く思ってないですし、ピッチャーを生かし切れていないって感じていた。僕自身も先輩のピッチャーだったり、指導者の方に許してもらってここまでやらせてもらってる」と複雑な心境だった。その中で「次チャンスがあれば絶対にいい結果を2人で出したいと思っていた」と心が折れることはなかった。
登板間隔を空けるため、左腕が20日に抹消されると謝罪を受け、そこから話し合いが行われた。「(早川が)後輩なので言いづらい部分もあったかもしれないので、まずはどう思っているのか全部話してもらった」と意見を聞いた。その言葉をもとに「意見をくんで、2人でどうしようって話しました」とすりあわせていった。
試合前から密にコミュニケーションを取る中でこの日は、首の振り方にも決まりを設け、太田が意図をくみ取りやすいように工夫した。「意図は感じながら打ち合わせ通りにできた。納得して投げてくるボールと半信半疑の感覚で投げてくるボールは受けててわかるので」と配球をはっきりとさせた。
早川も「自分が見て危ないなと思った時は首を振りますと伝えていたのでよかった」と中途半端にならず、投球できたといい「ゲームの中でもしっかりコミュニケーションをとれた」とうなずいた。
2週間ぶりに訪れたリベンジマッチを、9回1失点と最高の結果で見せたバッテリー。太田は「ピッチャーを引き出す面ではもう一回考えるいいきっかけになりました」と語った。